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内緒話を夜のピクニックで

君のさよならの温度忘れられないな
忘れたくなったら手を叩け
途切れた日々も支えて腫瘍になる
日がいつか来るのかな

この温もりを感じていたいから
このまま夜明けに挺していたい
明けぬ日暮れに背中が熱いだけ
抱きしめられた日が光になるだけ

君のサヨナラの温度忘れられないのに
さみしさばっかじゃ飯も食えない
お別れというには優し過ぎたんだよ
君の全て川面のひかり鱗のように

君のさよならもいつか忘れてしまうから
幸せになったら手を叩け
途切れた日々の咽ぶくらいになる
陽だまりをずっと憶えていて

そんなことを忘れていないから

指が絡めば潮騒が響くのなら

今日は髪型も髪留めも変えてしまったの
誰にも見つからないように
冷めない冬が存外に心地いいんだ
またね 夢の鍵を墓地へ放っている




あなたが口を結んだまま聞き返す声が
たぶん、たまらなく好きだった
今じゃもう分からないけれど

アーモンドのかたちの水晶が
ゆらゆら揺れてしまえ
瞬きするたびにこぼれる憂が
きらきら星みたいだと思った

薄く開いた目が涙を湛えてこちらを見ること
唇はすこし乾いてた
冬にはダークグリーンのスカーフがあった
きっと夜は白醒めても舌の上に残る
夢みたいだった

かなう前に伸ばした手が
朝日の端っこにさえ届かなくて
ゆるゆると落ちた頭はまあるくて綺麗だった

壊す前に逢いたいとしても
黎明の淵にさえふれられなくて
俯かないで それだけ思ってすすき色に透けた

あなたが口を結んだままで少し緩めて
目を見る目が優しくなるの好きだった
鼻にかかった短い返事は擽ったくて
いつもその時だけは未来を信じられたんだよ

君を患った僕だけの秘密
鈴の音が夜の底を冷やしていくような

そんな気がしている





寂しい景色が似合わない君が好きだ
寂しい気分に似合えない君は笑ったままで
嘘みたいなあなたの瞳が
どんどん遠くなってゆく

銀杏並木に透かされた青
抜きつ塗り込めつ君が過ぎる
夏を呼んだのはもうずっと昔のこと
やさしい声に会いたいな

そんなことばかり
謳って考えてはしもやけを言い訳にした
手のひらに触れない さわれないままで
距離を確かめている
声がいつまで届くのか分からない私は
背中の温もりに泣くこともないようで

バルーン 飛べ 飛んでゆけ
偽善者になりたかったわけじゃない
髪を切ったとただそれだけ尋ねたい
桜の花びらに薄氷を重ねて願う

寂しい景色に風を呼び込んだ
君はもう踊っている
寂しい心も晴れさせて無責任だよ
嘘みたいに好きなこと
水泡に込めている

ラジオネームを君にした午後も
ほどけない結び方を探している
冬を恋しく思うはじめての朝
耳に残る声の君が好き

顔も耳の形も癖になるようなその声音ですら
心臓の輪郭が淡く鳴り出すのはなぜ
位置が分かっても止められない鼓動の奥
かすかに笑う日だまりに祈る
今日も逢えますように

ドロップ 溶けきるまで
真面目でもないの思っているより
キスをさせて いつでもここにいて
水あめを口に放り込む刹那

寂しい景色が鼻をついた
うなじをゆすぐ髪は擦れて
まなざしを想う 声に傾く
日差しよりも真っ直ぐな感情で

あなたのいる景色をほどいた
心に描く願いはそうだ
ただひとつがかなう世界なのなら
こっちを見て笑わないでよ

おかしいくらいにばくばくと云う
風が凪として止まる前に
春が来る 未来は光の中だ
闇に落とし込んだドロップだ

寂しい景色が似合わない君が好きだ
寂しい気分に似合えない君を笑わせたい
嘘みたいなあなたの瞳をつかまえるよ
さんさらばっさ ステップを踏め





騙されて欲しい
ばかなあなたに
ごめんねといって笑いたいから
向きを変えて微笑まなきゃ損よ
私なんでもあなたに与えてあげる

メロンパンをそのままくわえて
ふらふらとする横顔に噛み付きたい
今日び天津星の降るせかいに
流れ掛かりながら終わりを知る

抗えないから
キスをしてみても
虚しいだけでも手を包む
案外嫌いじゃないことに
気付ける夜すがらにそばにいたい

双子星
うなじを風がゆすぐ
そばにいていいかと僕が問う
ポテトを買って来るだけでいいよ
馬鹿みたいでしょ 君がいいの

終わりと始まりが一緒でないと
世界は何も始まれないのよ
円環を二人泳いでいたら
いつしか大気も綿菓子になって

騙されて欲しい
ばかな私は
引け目だけをぽつんと持っている
ポケットを叩いて笑ってくれたのは
君だけだったんだ

悲しくなったら私を殴ってね
悲痛な声で誰かを呼ぼうとも
なんにもできないから あたし
誰かにもなれないからさ

抗えないから
ずっとみていたの
壊れるままでも手を繋ぐ
指を絡めていたら星座になったよ
寂しさの魔法で宙に浮こう









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