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「日揮のDX、発達障害のエンジニアら活躍 雇用6割増へ」に注目!

日揮ホールディングスのDX、発達障害のエンジニアら活躍 IT子会社の雇用6割増へ - 日本経済新聞 (nikkei.com)

日揮ホールディングス(HD)はIT(情報技術)分野で、発達障害などのある人材の採用を拡大します。納期やコアタイムのない柔軟な働き方で、プラント設計や陸上養殖のデジタルトランスフォーメーション(DX)を担います。2026年度までに障害者のエンジニア雇用を6割増やします。法定雇用率を満たす日本企業はまだ半数で、定着への職場づくりが急務です。

「ここよりも良い職場はない」。日揮HDの特例子会社で、IT戦略を担う日揮パラレルテクノロジーズの中島正人さんは働きがいを実感します。2021年に入社してエンジニアとして働き、グループの新事業である魚の陸上養殖に使うソフトウエアなどを開発。稚魚の購入時、尾数を画像から推定する人工知能(AI)を実用化しました。

日揮パラレルは2021年の設立で、グループ各社の現場での課題をデジタル技術で解決することが主な業務で、現在は37人が働きます。発達障害や精神障害を抱えるエンジニアが全体の9割近くを占め、4月には身体障害者2人が社員に加わりました。今後は毎年10人前後を雇い、2026年度までに障害者の雇用を6割増の計55人に拡大します。

すでにプラント設計時に過去の部品データから完成時の重さを予測したり、配管内の異物を検出したりするソフトを開発。研修向けにプラントを仮想空間で再現するなど、主力事業のDXを支えています。

日揮パラレルが設立された背景には、日揮HDで障害者の採用に苦労した経験があります。手厚い休職制度を設けていましたが、勤務が長続きせず、長期休職のケースもありました。新規採用に慎重になり、1年間で1人も採用できなかった時期があります。

日揮パラレルでは過去の反省を生かし、働き方に工夫をこらします。

症状は様々で通勤が苦手だったり、オフィスの照明に過敏だったりします。そのため、出社義務や働かなければいけない「コアタイム」をなくし、在宅勤務にしました。月20営業日の場合、160時間以上の勤務を満たせば、細切れの休憩など働き方は自由です。

一つのことに集中しすぎて、周りが見えなくなる「過集中」になる社員もいます。そこで重要かつ緊急性のない仕事に絞り、納期を設けません。また1人に1プロジェクトを割り当て、チームでなく、個人単位で働きやすくします。入社時に気分が落ち込みやすい障害があった中島さんは「自分のペースで社内の要望と擦り合わせ、課題を解決できることにやりがいを感じる」と話します。

IT人材を育てる就労移行支援事業所からの採用に力を入れます。障害を抱えるエンジニアは設立時から7倍近くに増えました。グループ内の仕事が中心ですが、日揮パラレルの阿渡健太社長は今後について「外向けのビジネスも増やし、稼ぐ力を高めていきたい」と語ります。

厚生労働省によると、2023年6月時点で民間企業(従業員43.5人以上)が雇用する障害者数は約64万人と、20年連続で過去最高を更新しました。精神障害者が約13万人と2022年から19%増え、身体障害者(1%増)や知的障害者(4%増)の拡大ペースを上回ります。日揮HDの障害者雇用率は2023年6月時点で2.46%と、同時点での法定雇用率(2.3%)を超えています。

だが法定雇用率を満たす日本企業は全体の半数にとどまります。今年4月に法定雇用率は2.5%に引き上げられ、2026年には2.7%になります。定着や働きがいの向上が産業界の喫緊の課題です。日揮パラレルはソースコードやプログラミングなどの研修を用意し、会社負担で日本マイクロソフトと連携したIT関連の資格取得も支援しています。

日揮パラレルテクノロジーズは、障害の有無に関わらず、全ての人が対等 "Parallel" で、社会的意義を感じながら持てる技術"Technologies" を発揮して働ける社会の実現をミッションに掲げ、自らが実践しながら、日々その方法を模索している日揮HDの特例子会社として設立されました。

記事でコメントをしている阿渡健太社長は先天性の両上肢障害ですが、健常者とまったく同じだと思って生きてきましたし、何の負い目も感じていない一方、「障害」があることで、さまざまな障壁があったそうです。一番厄介だったのは“社会”だったそうです。そんな社会を変えたい。「全ての人が、対等に働ける社会を実現したい。」というのを自身の人生のミッションと思い、活動しています。

なお、この阿渡健太社長は、パラアスリートとして、パラテコンドーに日本代表としても活躍しています。

このような様々な方が活躍している日揮HDに期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。