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神様⛩めぐる 其ノ5 「金松法然」


〈神様①〉
 昨年冬、ふと気になったので宮崎県えびの市にある「金松法然」(かなまつほうぜん)に向かった。ふととか、なんとなく気になるということは、用事があるから来なさいということで、この神様に限らず行かないことはない。

お参りの前に、近くのながたにストア-でお参りセットを購入。以前はなかったが、自販機ができていた。お参りセットは、焼酎、米、塩、線香、ロウソクがひとまとめになっている。

8時から19時営業 不定休
お惣菜の種類が豊富で美味しい
24時間稼動中
お店を正面にみて左側にあります
1セット
社務所では販売していないので、事前に準備されるのがおすすめ。焼酎好きの神様なので、喜ばれると思います。明石酒造の「明月」は地元の酒造メーカーで造られている芋焼酎


お参りセットを購入して、駐車場に戻ると、私の車の隣に黒く光る車が停まっていた。視線を感じる。よくみると私の車が駐車スペース白線内だが、自由に停めてしまっている。
「すみませーん😢」
と口ずさむと、声をかけられた。
「タイヤ、パンクしちょっと」(鹿児島弁でパンクしてますよの言い方)
えっ!自宅から高速道路を使って、約60キロ走ってきている。言われたタイヤをみてもよくわからない。どうしよう‼お参りして帰れるかなど事情を伝えると、黒く光る車の紳士は、携帯電話をパパッと操作して修理を依頼してくれた。紳士は、このスーパーに昼食を買いに来た様子。手配をすませて、仕事に戻られたが、わずか数分の出来事。その後、修理屋さんが来て、1時間ほどでタイヤの修理は終了。釣り針のようなものが刺さっていて、数日にかけてじわじわと、空気が抜けていたのではということであった。
私は、金松法然がタイヤのパンクに気が付かせるためにここに呼んだのだと理解した。翌日は、この車で自宅から山を3つ越えて遠出する予定があったので、山の中での事故は逃れることができた。

この日から黒く光る車の紳士は、私の神様になった。
神様はみなやる事早いので、私はいつも追いかけている。

私の神様で株式会社児玉組の
代表取締役会長
九州林業土木協会 宮崎県都城支部長でもある源嶋政徳さん
宮崎県えびの市大河平
株式会社 児玉組

「従業員募集中」


そのあと、金松法然社務所に向かい本堂で、私を呼んで助けて頂いたお礼を申し上げた。
金松法然は、願うことをあきらめなければ、いつか願いは叶うとおしえてくれる。または意味深い結果で何かをおしえてくれる神様である。

秋のえびの市🍂

〈神様②〉
 金松法然が祀られている、宮崎県えびの市は、加久藤盆地(鹿児島県湧水町からえびの市および、宮崎県小林市にかけて広がるカルデア性盆地)に位置しており、この盆地の南縁に霧島山がそびえ立つ。霧島山は[韓国岳(からくにだけ)・高千穂峰(たかちほのみね)・新燃岳(しんもえだけ)・甑岳(こしきだけ)]など、大小20を超える火山からできている。
山腹を伏流してきた湧水は、火山地質にろ過されているため、美しく、新鮮な甘みがあると言われている。周辺では、豊富な湧水を利用した、農業、養殖、酒造りなどが有名である。
この地域には、むかしから多く分布する「田の神像」があり、地域住民の信仰の深さを感じる。また、山の存在は人々の心の拠り所になることは多いが、火山となると畏怖(いふ)の念もあり、より深い尊崇(そんそう)があると感じられる。

稲穂🌾と田の神


駐車場からゆるやかな坂道をあがります。

金松法然社務所にある案内によると、
金松法然様はどこからこられた方か知る人はいないが、宮崎県えびの市の栗下地区に住みつかれた坊様であるそうです。この坊様は大変な焼酎好きで「ほうのきく」霊験あらたかな坊様で村人の苦難や危機を救うて下さりましたが、安永六年(1777年)九月二十三日往生されました。地区民はその徳を慕いてその霊位を金松墓地に安置されたそうです。法然様は死の直前に「私が死んだら焼酎を供えて一つ願を立てろ、必ずかなえてやる、一度に二つ以上の願はかなわんぞ、欲ばりはいかんぞ」と遺言され目を閉じられたと伝えられています。その後、法然様は金松法然又は、焼酎法然ともいわれて、今でもみんながその徳を慕いています。
とある。

 9月23日は金松法然の命日にあたり、神職による神事が執り行われた。集まった参列者は各々(おのおの)の思いを時の流れにのせた。
雨上がりの朝。杉の香りが風にのって、線香の煙と混じる。ひっきりなしに参拝者が訪れるためにろうそくと線香の火が途絶えることはない。

本堂
焼酎カップを開けて、米と塩も袋から出してお供えます。


線香の香りで全身が目覚めます。

神社でもなく、寺でもないので祈り方の決まりはない。
遠方からは、飛行機を使って参拝目的で来られる方も多いという。駐車場に止めてある車のナンバーも県外が目立つ。先月は一日に450人ほど来られた日もあったそうだ。

 ここは、栗下自治会(金松法然奉護会)と金松法然協力隊の方々で管理されているという。地域の人口減少と高齢化、後継者不足のため、今後の運営管理の課題があるという。
法然の命日には、郷土芸能の兵児(へこ)踊りと輪太鼓踊りの奉納があったが、この数年は後継者不足のため、休止されているという。

奉納された法然像

 明治時代初期にいた人と金松法然は接点があったとのこと。伝記などでは生前はおおらかに大胆に生きてこられたようである。大好きな焼酎も浴びるほど飲み、それを糧に活躍をしたのであろう。亡くなったいまも、供えられた焼酎を飲み状態は変わらないと思われる。墓は本堂の中にある。
金松法然がこの地を選んだ理由として、たび重なる火山活動による被害、九州の盆地ならではの台風、水害、猛暑、高温、多湿などで多くの人々が苦しめられ、胸を痛められたのであろう。そして美味しい水で作られた、焼酎の魅力もあったと考えられる。
ここは、独特の時の流れがある。私はここを訪れると、陰(いん)を感じる。陽は陰があって引き立ち、陰は陽があって存在の重みを出す。両方ともなくてはならない存在だ。ここで感じる絶大な存在感、それは金松法然が地域の人に守られて、また人々を守っていく中に成り立っていると思われる。

社務所のみなさん
左より
絵柳 俊郎さん
浜松 政弘さん 栗下自治会長(金松法然奉護会長)
有村 静夫さん
絵柳 辰郎さん

金松法然社務所
宮崎県えびの市栗下757−10
えびの市役所より車で約5分
最寄り駅:吉都線 えびの駅

ながたにストア-
宮崎県えびの市東長江浦633−3
えびの市栗下交差点近く

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