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鳥居⛩️めぐる 其ノ3「山神社」


三の鳥居



 鹿児島県霧島市の霧島神宮。令和4年度に正式に本殿、幣殿、拝殿が国定指定された。

拝殿を正面にみて左側に行き、奥に進むと山神社がある。大山祇神(オオヤマヅミノカミ)が祀られている。

あと3分だ


 初めてここを訪れたのは数年前。周りの巨大な木のパワーがすごいと聞いたからだ。それ以後、年に数回訪れている。何年か前に旅行雑誌に記事が載ってからは、山の中ですれ違うひとが、夕方のスーパー並みに多くなってきている。

 ゆるやかな山道をあがる。空気の小さな粒子が存在感を出し、それらがまとまって張りつめた空間をつくる。その空気を胸いっぱいに吸い込み、ろうそくの炎が、揺れないようなイメージで息を吐く。樹木の匂いは、場所によって濃度が違う。天に向かってまっすぐにそびえ立つ木で、空が遠くに見える。日差しが充分届かず、草木で覆われた土は、湿度を含み重みを感じる。途絶えることのない虫の声と、はるかな空の飛行機の飛ぶ音以外耳に入らない。

見上げる空

 白木鳥居をくぐり、左側に祠がある。「古事記」による国生み、神生みの伊邪那岐尊(イザナギノミコト)と伊邪那美尊(イザナミノミコト)から誕生した山の神だ。霧島神宮の相殿神である木花咲耶姫尊(コノハナサクヤヒメミコト)の父にあたる。コノハナサクヤヒメの夫は、主祭神の瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)である。

シャッターチャンス到来

「もろかた(第12号)」によると大山祇神(オオヤマヅミノカミ)は山の神のほかに、「水上神」「大水神」水田、稲作に関する「水神」または「農業神」としての名がある。交通の神、あるいは航海の神としては、「渡志大神」(和多志大神)といい、知識神としては「塩筒神」といわれている。このように多くの異名を持っているのは、大山祇神一族が太古以来多方面に活躍したからだろうとある。

大山祇神は全国に1万以上の祠祭地を持っていると言われている。総本社は愛媛県今治市にある大山祇神社。「伊予国風土記」によれば、大山祇神は百済の神(百済とは朝鮮半島南西部をいう)であり、海を渡って来られたとある。天照大神(アマテラスオオミカミ)の兄神として日本で誕生し、百済の神でもあるならば、あちらとこちらを行ったり来たりしていたのだなという印象を持つが、風土記の編纂(へんさん)のいきさつやそれらを多方面で深く取りあげていないことなどからして、思いが果てない神話なのであろう。

コノハナサクヤヒメと姉の石長比売尊(イワナガヒメノミコト)は共に父の大山祇神から天孫に貢進(こうしん)されたが、姉神は醜かったために天孫から返された。岩の如く永遠不滅の象徴であったイハナガヒメを返した。それに対して、天皇と人間一般の短命がもたされたとされる神話は、有名である。
父として娘ふたりの幸せを思って、天孫に貢進されたと思いたいが、私だったら長女は手元においておくかな。そして永遠の命より、足腰元気で、認知機能もまあまあであれば、それなりの寿命で満足なので、そのあたりは臨機応変に計らうであろう。

大山祇神はたくさんの神様名を持ち、様々な分野で信仰されている。つまり絶大な力と信頼があり、期待される存在であるということがわかる。

大山祇神のイメ-ジは、タロットカードでいうとエンペラー(皇帝)である。
終わり。

所在地:鹿児島県霧島市霧島田口2608-5


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