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悦びに満ちたブルー。「デイヴィッド・ホックニー展」

過日、東京都現代美術館で開催中の「デイヴィッド・ホックニー展」へ。

現在86歳、60年以上に渡り精力的に活動するアーティスト、デイヴィッド・ホックニーの、日本では27年ぶりとなる大きな個展。
総展示数は、200点余り。

おしゃれさん!

そのテの話にはとても疎いのだけれど、彼の作品はいま最も高額で取引されているとかいないとか。
ひとは、どこにそんなにも心を掴まれるのだろう、と単純に興味があった。

まだ体調が安定していなかったこの日(というか、暑すぎるせいだと思う)、ぼんやりした頭で館内をめぐる。

光や水、友人…身近にあるもの、風景を、いろんな角度から見つめ、繰り返し繰り返し描いているホックニー。
2010年からiPadを取り入れているということにも驚く。

実験好きで探究心旺盛、いつもワクワクしている。
同じものを描いていても、常に違う視点で観ている。
そんな印象。

《ビバリーヒルズのシャワーを浴びる男》

わたしが取り分け好きだったのは、水の描き方。

《スプリンクラー》

シャワーやスプリンクラーから勢いよく溢れる水の音が聞こえてくるよう。

あぁ、気持ちよさそうだなぁと思いながら、しばし立ち尽くす。

《春の到来、イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート》

後半、いくつかの作品が撮影可能だった。

ヨークシャーに行ったことはないけれど、これは間違いなく、春の風景。

《春の到来、イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート》
《春の到来、イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート》

冬から夏にかけて、毎日同じ場所へ出かけ、iPadで描いた作品に既視感を覚える。

わたしにも毎日のように通る道があって、「そろそろ角のお家のミモザが咲きそうだな」、
「奥のお家のモッコウバラは今年もきれいだなぁ」、
「今年もこのお家のハゴロモジャスミンがいい香り」
…等々、移ろう景色、かわるがわる咲き誇る花々、すれ違う犬たちとの出会いを楽しみにしている。

日常はこんなにもカラフルで、悦びに満ちあふれているんだ。

《ノルマンディーの12ヶ月》

最後は、コロナ禍にiPadで描いたという全長90cmの大作《ノルマンディーの12ヶ月》。

《ノルマンディーの12ヶ月》

まるで絵巻物!

iPadって、こんな使い方ができたんだ。

《ノルマンディーの12ヶ月》

どうやらわたしは、ホックニーの青や緑の使い方が好きみたいだ。
とくに、底抜けに明るい夏空のようなブルー。
ただただ、「今日も生きている」悦びを感じるような。
※あれもこれも、すべて個人の感想です。

《ノルマンディーの12ヶ月》

ノルマンディーの12ヶ月を追いかけながら、どんどん楽しくなって、何度もぐるぐるしてしまった。

同じ時代に生きられて、良かった。
冷蔵庫に貼ったポストカード(ホンモノは私の財力では到底…!)を観ながら、そう思う。

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