最近の啓発書小考






先般、秋嶋亮(響堂雪乃)『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ』を読んだ。

感想が拙いが、中身は大変勉強になる内容であった。

日本政府への批判的な内容に加え、企業が個人情報を流失させるほどセキュリティーの甘さについて触れている項目が目についた。

Amazonのレビューを見ても多くの高評価を出している書籍であることは間違いないようだが、こうした啓発書というのは個人的にはあまり意味の成さないものかと思っている。

自己啓発に関した内容ならば自分自身の問題なので自身で対策や解決が出来るものの、他人を動かすこと、況してや国レベルとなれば大概の啓発書は批判ばかりで自身がどう働けばよいかどうアクションをすべきかに一切触れない。触れても意味や効果が無いからだろう。


この書籍を読んで思った真反対な内容を書いているのが『ファクトフルネス』。こちらは統計学に基づいて世界情勢や政治に関した数字やグラフをクイズ形式で読者に答えかける内容である。


啓発書というのは単に読者が読んで終わり、何かが変わることはない。

そして知っている人は知っているが、知らない人からしたら何も興味の湧かないまま次々と発売される書籍に流され、忘れ去られていく。


知っている人だけが知っている啓発なんて誰の何のための啓発なのか?


散々政府や企業の批判ばかりで、解決策がない。この書籍を政治家や企業の重役が読んで内容に痛感して体制等を改善されると筆者が思っていたら気の毒だが考えが激甘だろう。

国の言いなりにならない、損をしないための指南術なら何故多くの国民が反応しないのだろうか。いやはや大規模なアクションを求めるなら自身で有志を募り、団体を行使して政府や企業と一騎打ちをかけるデモをすべきだが。
つまりは単なる知識のひけらかし、意味の無い啓発でしかない。
そして読者は感想レベルの意見しか出てこないのである。全てが無意味なのである。


税金の無駄遣いや法律に関した案件を国民を危険へと陥れるための罠だとか啓発書ではいうが、そうなったらもはや何を信じていいのか何を信じたら馬鹿を見るのか判断が分からない。

極論日本を捨てて海外移住でも勧めているのであろうか?

にしても日本以上に荒んだソマリア等の国家というのはごまんとある気がするが。


私が声を大にしていいたいのは、

啓発に必要なのは社会学ではない、統計学であるということ。


政権批判、企業へのクレームはいつの世も消えることはありません。社会学というのはよりよい社会を目指すために政治や行政の在り方、人びとの暮らしを総合的に学問として学ぶジャンルでありますが、一方でその研究に際して統計というものが非常に大切になってきます。統計は数字で示す人間から自然全般における動向なのです。それを蔑ろにしてしまっては重要なデータは作成できません。統計のない発表は全て感想なのである。ただ政治の動向だけを判断して危機的状況に陥るだの財政が逼迫しているから国民への税金の搾取が過激になるだの数字がなければ意味がありません。そして人間が常に動いている内は数字もそれに伴います。統計以外にも数字は多く活用されています。何度も言うが社会学において数字は絶対に欠くことの出来ないものである。そして知識のある人間は数字を巧みに利用して都合のよい部分しか出さない側面もある。自身の主張に対して、本来ならば必要な部分の数字が掲示されず、主張に沿った内容の数字だけが発表される。これでは数字の意味が無いといっても過言ではない。数字で嘘をつくことは可能である、そして切り捨てることも可能である。これについて啓発をしているならばまだしも啓発する側も数字を鵜呑みにするなと批判する。そうなれば確かな数字はどこにあるのだろうか?我々が見てる数字は嘘だらけなのだろうか。そうなれば我々は全てにおいて信じることが難しくなってくる。


それと啓発をする側の人間は日本をどういった国にしたいのか?この質問にも正確に答えられないといけない。全てにおいて模範的でかつ外国から高評価な国にしたいというならば実現不可能な荒唐無稽な理想論止りな主張である。過去日本で税金が正しく使われた例があるだろうか?世界から高評価な対応を日本はしただろうか。日本の見習うべき国はどこなのだろうか?啓発書はどれも各国の日本よりいい部分を掻い摘まんで批判するため、非常にまとまりがなく説得力がない。全くといって自虐満載のお国柄なのだろうか。


啓発書というものは本来自身のふしだらな生活や思想や態度に喝を入れるため自己で改善させるための内容であり、それを他人へと強要するのは並大抵のことではない。しかし世論を動かし、打倒政府を志すならば考えではなく行動で示さなければ変化はない。いつまでもSNSや書籍でこうした批判や

要望をしてもいつまでたっても何も変化はない、ただの人任せなクレームでしかないのではないかと思う。


皆さんはどう考えますか?


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