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空耳図書館のはるやすみ④『ちいさなポスト』

娘が文字を覚え始めた頃、
小さなポストを作って
廊下の隅に置いた。
そこには毎日のように
手紙や絵が入っていた。

私の仕事が忙しかった頃、
彼女はとても寂しかったと思う。
だからせっせと文字を覚えて
手紙を書いていたのだろう。

人間はなぜ文字を発明したのか。
手紙とは何か。
そんな大切なことにもきっと
無意識に触れていただろう。

手紙は全部大切に取ってある。
春から大学生の彼女は
見たくないと笑う。

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