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一級建築士の街歩き03 表参道・原宿編 “この木なんの木”...気になる“木”達 【後編】

目次

9  ”木”を巡らす

10  ”木”は導く


9  ”木”を巡らす

マルチアーティスト杉本博司氏設計の 茶洒 金田中の庭園です。

庭の壁を巡っている生垣の発想は何と竹ぼうきのイメージ。
この意表を突く竹ぼうきを使う考えは千利休に代表される
侘び寂びの“茶室”に通じると思います。

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杉本氏は更にマンション内に設計した
“うちはそと”名付けられた茶室でこの“ほうき垣”を使っています。
これは京都にある普請道楽の北村謹次郎の作った
“四君子苑*(しくんしえん)”にある稲穂を使った“稲穂垣”に
インスパイアされたものと私は見ています。

事実杉本氏の最近の話題作小田原に建つ江之浦測候所も
この四君子苑をお手本としています。

 *四君子:蘭、竹、菊、梅の4種類を草木の中の君子として称えた言葉

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さていよいよ最後です。

10  ”木”は導く

表参道の南端の先にちょうど明治神宮と対をなすように
見事な庭園を持つ根津美術館が有ります。

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“竹並木”に導かれるように敷地に入いり右に向かうと
そこはあたりの喧噪を忘れさせる深い庇の下の静謐なアプローチ。

右側に竹の生垣、左側は綺麗に立ち並ぶ竹の壁。
(写真は逆から撮影)

設計は明治神宮ミュージアムと同じ隈研吾氏

長くとったアプローチとそこに置かれた竹。
ここに佇むと一気に美術館への期待が高まってくる巧みな空間演出。
庭園もまた素晴らしい。


・・・さていろいろな”木達”をご紹介しましたが、如何でしたでしょうか。

今まで見てきたものは単なる見える樹木としての“木”だけでなく、

木の様々な形、
生態、
転写された表情、
根を張ったもの、
木陰を提供するもの、
人の行動を誘うもの等様々です。

意識するとしないとに関わらず
私たちは自然と”木達”と行動、感情を共有していると思います。

また、振り返ってみると
オモハラで取り上げた”木達”の中で印象的な存在には
ケヤキ、ヒノキ、杉、竹等 
日本の伝統的な木達の存在があることに気づきます。

私はこの ケヤキ、ヒノキ、杉、竹 を“四君子苑”にちなんで
“オモハラ四君子”に挙げたいと思います。

今度 表参道・原宿を訪れたら是非一度こうした”木”達を意識して
そぞろ歩きをしてみては如何でしょうか。
きっと新しい発見があると思います。

ではこの辺で。
そろそろまた珈琲タイムにしたいと思います。


●以上で 表参道・原宿の”木”達 については一区切りです。

今後 

表参道・原宿の”ガラス”達

表参道・原宿の”コンクリート”達

について見ていきたいと思います。

つづく

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