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OEDO[2-9] 地球防衛隊

一区切りです。ここまでサヨクの皆さんを揶揄したり、ウヨクの皆さんを挑発したり、他国の指導者や自国の政治家を嘲けたりする場面も多々ありました。あらゆる人を敵にまわすように書き殴ってもきましたが、それもこれも日本の未来を憂い、危惧しているからに他なりません。

ここしばらく、日本はロクなことがありません。賃金は下がり、格差は拡大し、少子化は進み、国債は増大し、年金は減少し、若い世代も高齢者世代も不安しかありません。そしてそこに来て今回のウクライナ侵攻、Jアラートの連発、台湾有事の吹聴──さらなる不安を煽り立てられることばかりです。

これ以上に防衛費が増額され、負担を強いられたり、未来に負の遺産を残したりする訳にはいきません。そもそもサヨク、ウヨク、政治家の方々皆さんの平和観、戦争観、国際政治観が間違っている気がしてなりません。半世紀以上前となる敗戦直後からアップデートされてないように感じます。今一度、その根拠を振り返りましょう。

「世界は変貌している」──1世紀前は植民地政策が当たり前。半世紀前にも奴隷制度、共産主義国家が数多く残っていました。しかし、ベルリンの壁崩壊以降、世界は劇的に進化しています。未だに当時の価値観で戦争、防衛を語る専門家も見かけますが、時代錯誤。今さら戦国時代に逆行するような妄言ばかりです。

「武力均等による平和は幻想」──ほとんどの戦争は均衡した武力の元で勃発しています。戦争が長引くのがその証拠です。また武力が非均衡でも、弱小国が無謀な戦いを仕掛けることもあります。太平洋戦争時の我が国が好例です。戦争の蓋然性を下げるのは「非武装」のみ。国際世論を惹きつければさらに安全になります。

「独裁者は外敵より自国民を恐れる」──国民にそっぽを向かれれば政治家は地位を失い、無職となります。それは独裁国家も同じこと。下手をすれば国民の運動により命まで失います。しかもここ数十年、世界は失権した圧政者の歴史で埋め尽くされています。彼らはいつも、か弱き窮鼠たちなのです。

「戦争より地震の確率の方が高い」──地震列島の我が国で、大戦後に地震で亡くなられた方は2万人近く、戦争はゼロ。来たる南海トラフでは20〜30万人と予想されています。今後、同規模の戦争が発生する確率は限りなく低く、国民の生命と財産を守るなら、自衛隊はレスキュー隊へと改編すべきです。

以上、「地球防衛隊」法案の基盤はこのような平和観、戦争観に立脚しています。いずれも簡単には反論し難い事実ばかりではないでしょうか。一方で日本のサブカルを総動員したブランディング効果もその基軸としており、子どもっぽい夢物語のようにも思われますが、その軽妙さ、POPさも重要視しているのです。

今現在も我が国では様々な法案、政策が審議、実行されていますが、インボイスを筆頭にどれも後ろ向きで暗い気持ちにさせられるものばかり。ポジティブで前向きなものが見当たりません。一見幼稚に思える本法案も、強行採決されたIR法案と比べれば遥かに大人で実効的。よほど多くの命を救います。

ここで悪名高きアパルトヘイトと決別した南アフリカ共和国をその例に出してみましょう。核兵器も放棄し新生国家として再出発した’94年以降、世界各国からの経済制裁の解除を勝ち得ただけでなく、OAU、非同盟諸国会議、SADC加盟を果たし、20年振りに国連総会の議席も回復させました。

経済的発展も目覚ましく、国際的地位も飛躍的に向上。今やグローバルサウスを代表するエマージングカントリーとなっています。南アフリカの場合、元が相当ワルな不良だったようなものですから、人道主義の優等生国家に転身すれば、国際的な発言権までをも獲得できるんですね。G20入りまで果たしています。

同様に、中米で非武装国家を宣言し、日本の海保程度の護衛力をしか持たないコスタリカも、その地位を向上させています。隣国ニカラグアや麻薬組織などの脅威に晒されながらも、地政学的に課題が山積する中南米の平和維持に多大に貢献。国連総会決議に基づき、小国でありながら国連の研究機関、国連平和大学本部の誘致も成し遂げました。

日本ほどの大国となれば、比べられないほどの効果を期待できます。しかも「地球防衛隊」は、武力を放棄するだけでなく地雷撤去や人命救助などにも取り組むのです。地震列島、唯一の被爆国、平和憲法で知られる日本は、そのプレゼンスを上げる資質も能力も十分。世界へアピールする説得力も備えたファーストペンギン になれるのです。

世界中から称賛を集め、子どもたちの憧れの存在となり、憲法前文に謳われる「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」も実現できることでしょう。現行の政策では望むべくもない偉業です。
 
南アフリカ・コスタリカ以上に国際的発言力も上がり、悲願の旧敵国条項撤廃、あと一歩にある常任理事国入りも実現可能──日本の安全性はさらに向上します。追随する国も出るでしょうし、世界を牽引するリーダーシップも発揮できます。輝かしい遺産を未来の子どもたちに残すことができるのです。

一方、内閣がごり押しする防衛費増額は周辺諸国からの非難を浴び、国民生活を圧迫し、子どもたちに税負担を押し付けます。国際秩序の先行きを暗くさせることでわざと不安を掻き立てるマッチポンプ。そもそも防衛費の増額と「地球防衛隊」法案──どちらが多くの国民の命を救うことになるか。その結果は目に見えています。

古い人からは「サンダーバード」と同じだと言われたこともある「地球防衛隊」です。僕は世代じゃないのでよく分かりませんが、調べてみたら設定は2065年、未来のIR(Integrated ResortではなくInternational Rescue)を描いているそうです。ジェフというキャラのこんな言葉にも出会いました。

「人間というのは努力を重ね科学の発展に尽くしてきた。おかげで今や大したもんだ。ビルが倒れたらすぐに新しいのが建つ世の中だ。しかし命はそうはいかん。我々国際救助隊の使命は永遠に変わることはない。尊い命を救うのが唯一の使命だよ。かけがえのない命だ」──まさに地球防衛隊の理念です。


※最後までお読み頂きありがとうございます。この「地球防衛隊」全体の構想は最初の投稿「OEDO[0-0]地球防衛隊法案──概論」にまとめています。それ以降の章は、この章も含めて、その詳細を小分けして説明する内容になっております。

第一部[1-1]〜[1-9]では「戦争観のアップデート」について。第二部[2-1]〜[2-9]では「地球防衛隊の活動と効用」について。第三部[3-1]〜[3-9]では「予想される反論への返答」について。第四部[4-1]〜[4-9]では「地球防衛隊に至る思想的背景」についてを綴って行く予定です。

敢えて辛辣に、挑発的に書いている箇所もありますが、真剣に日本の未来を危惧し、明るいものに変えたいとの願いで執筆に励んでいます。「スキ♡」「フォロー」や拡散のほど、お願いいたします。批判、反論のコメントも大歓迎です。

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