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OEDO[1-8] 非武装のリスクヘッジ

「勢力均衡」が戦争の抑止力足り得ないことは、過去の戦争の例を見れば明らかですし、そもそも「領土の奪い合い」の為に戦争をする時代は終わっています。技術の発達と生産力の向上によりモノが余る今の時代、軍拡への動機は財政出動によるケインズ効果しかありません。

もう尖閣や竹島、Jアラートなどで危機感を煽られるのは終わりにしましょう。防衛費増額のために世論を味方にして、政治家自身の支持率につなげたいだけだと邪推しかできません。しかも防衛費は、一度膨れ上がってしまえば、将来に渡って収縮させることが困難な負の財産になります。

その増額分によって新たに雇用され、生活を営む人々が増えるからです。現時点でも人々の生活を奪うことなく、無意味となった軍備を「新しい国防のカタチ」にスライドさせなければいけません。それが、地雷撤去や災害時の人命救助により、日本を正義の味方に昇華させる「地球防衛隊」の使命です。

あらためてまとめますと、ここまで論じてきた中で浮上する課題は3つ「①人々の戦争観の転換」「②産業構造の維持」「③真に効果のある国防」になると思われます。一見、荒唐無稽で幼稚に思える発想ですが、この3点を克服できれば、立派な国策となり得るはずです。

その一つ目、「①人々の戦争観の転換」。今の日本人全体の戦争観・平和観の比率は「平和主義」「軍国主義」「どちらとも言えない」にほぼ三等分されると思います。もしこの拙論が広まりさえすれば、それなりの支持を集め、国会審議にあげるぐらいの賛同は得られるはずです。今お読みのあなたに拡散をお願いしたい思いです。

また2つ目、「②産業構造の維持」もコロナ失業ほどの混乱にはならないでしょう。漸次ゆるやかに自衛隊から地球防衛隊へと移行させれば良いのです。多少、開発や製造ラインの変更も余儀なくされる産業もあるでしょうが、それ自体が経済効果の呼び水にもなるものです。雇用が増えることはあっても、減ることはありません。

一番の問題となるのは「③真に効果のある国防」──本当に武力を捨てて平和活動に専念すれば、日本の安全は守られるのか?──この難題に尽きるでしょう。中国や北朝鮮と比べれば、微々たる予算の我が国の軍事力であっても、いざ放棄するとなれば不安を覚える人は多いはずです。

一方で平和を希求する人々も少なくありません。完全なる非武装、武力の撤廃を訴える護憲派も多数(国民の3分の1くらい?)存在します。しかし彼らの議論を見渡すと、有効な代案、決定打に欠けています。改憲派から追及されても「外交的努力」やら「対話による解決」程度しか言い返せないのが現状です。

今回のウクライナ侵攻では、国際法に効力はなく、国連も機能しないことが露呈しました。話し合い、対話で済むくらいなら、そもそも戦争は起きないでしょう。臆病で心配性な改憲派、軍国主義者たちが懸念する通り、武力放棄は危険な賭けとなるのかもしれません。

ここで検討すべきは、「武装した方が敵に攻められにくくなるのかvs敵に攻め込む口実を与えるのか」or「武装解除した方が攻められやすくなるのかor戦争の口実を奪うのか」──というこの2つのジレンマです。改憲派vs護憲派の争点も、結局はここに集約されます。

こんな時、現状や歴史から帰納できれば早いのですが、「非武装中立」を標榜した国家の例はあまりありません。1867年のルクセンブルク、1948年のコスタリカの2つぐらいでしょうか? どちらも小国ですが、他はバチカンやリヒテンシュタイン、パナマやツバルなど──さらに小さくなってしまいます。

ルクセンブルクの例を振り返ると、半世紀近く平和を享受した後に、2度の大戦でドイツに攻め込まれてしまいました。相手があのドイツですから仕方ないとも言えますし、僕が古い時代の戦争と呼ぶ、帝国主義時代に分類される歴史ですから、参考にするには賞味期限切れかもしれません。

また現行の参考となるコスタリカを見ると、放棄した軍事費の分だけ高い教育水準を実現し、周辺諸国の和平にも貢献するほどの国際的地位を築いています。国民も戦争に怯えることなく、さまざまな幸福度ランキングで1位を取ることもしばしばあるぐらい、上位をキープし続けています。

この事実をどう受け止めるかは皆さん次第ですが、護憲派の主張もまんざらではないのかもしれません。一方で、軍備を捨てずに戦争に巻き込まれた例は枚挙に暇がありません。これって漫画で言えば「ビーバップ」に代表されるヤンキー系と「あずまんが」に代表される日常系の違いとも言えるでしょうか。
 
皆さんはどちらの世界に住みたいと思われるでしょうか。80年代のヤンキー文化圏と2000年代のサブカル文化圏。「城東のボンタン狩りだぁぁぁ!!」の世界と、「世界人類が平和でありますように」「1万円でそんな願いでいいのかー!?」「これ以上何を望むというのです?」の世界と──。


※最後までお読み頂きありがとうございます。この「地球防衛隊」全体の構想は最初の投稿「OEDO[0-0]地球防衛隊法案──概論」にまとめています。それ以降の章は、この章も含めて、その詳細を小分けして説明する内容になっております。

第一部[1-1]〜[1-9]では「戦争観のアップデート」について。第二部[2-1]〜[2-9]では「地球防衛隊の活動と効用」について。第三部[3-1]〜[3-9]では「予想される反論への返答」について。第四部[4-1]〜[4-9]では「地球防衛隊に至る思想的背景」についてを綴って行く予定です。

敢えて辛辣に、挑発的に書いている箇所もありますが、真剣に日本の未来を危惧し、明るいものに変えて行きたいとの願いで執筆に励んでいます。「スキ♡」「フォロー」や拡散のほど、お願いいたします。

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