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村蛙句集

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Le Rire Jaune 笑う方のきいろいやつ

Le Rire Jaune 笑う方のきいろいやつ

(第一回カクヨム短歌・俳句コンテスト応募作品)

畦塗を終へて背中へランドセル
記念碑のスタアの鼻に風光る
パドルボート向かふ四月の入江かな
潮風をたらふく喫むや春の鳶

をんなにはまたきらはれてなめくぢり
おほかたの獣の昼寝してゐたる
夏蝶の森ブロンズのぴかぴかと
前掛に真白きレース辻地蔵

踏切の向かうに消ゆるパナマ帽
ゆで卵剥く一日なり野分晴 
銀漢の中くちずさむアヴェマリア
虫売の手の血管

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【短編】襟巻の狐【ホラー】

【短編】襟巻の狐【ホラー】

昔々、男が、妻に不義理をしたことを詫びるつもりで高価な贈物をすることにした。
狐の顔のついた、毛皮の襟巻である。

「いつも構ってやれなかったけれど、これでお前も少しは堂々と俺の妻らしく振る舞えるだろう」
質素な外見の男の妻は、その豪奢な贈物に目を丸くしていたが、しずかに礼を言った。

それからである。狐の襟巻をもらった妻は見違えるように活発になり、婦人会だの外の仕事だのと出かけるようになった。

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十六夜杯応募作品

十六夜杯応募作品

満月が綺麗ですねといえなくて

右折待つフロントガラス小望月

名前などどうでもよくて月蛙

2022年 入賞作品(俳句)

2022年 入賞作品(俳句)

第3回 海上保安の日 俳句コンテスト 特選

 海保の日月にも海のありにけり

第51回さくらんぼの都市さがえ全国俳句大会 高柳克弘賞・秀逸

 愚痴を聞くふりして含むさくらんぼ

鳥と恋の饗宴(投句)

鳥と恋の饗宴(投句)

滑り込みですが参加させてください!

囀や博覧強記のひとと居てこの未来重ならないか鷽の琴もう一度会えたらきっと春の星