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いい問いが、いい答えを生む

2020年4月より
武蔵野美術大学 大学院 造形構想研究科 造形構想専攻クリエイティブリーダシップコースに通っています。私の学科では「クリエイティブリーダーシップ持論」という授業があり、毎週クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されているゲスト講師をお招きし、お話を伺います。
あくまで講義のレポートではありますが、デザイン思考などを学び、実践している方々との繋がりや、情報の共有が少しでもできれば嬉しいなと思います。

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第8回【講義日】2021年5月31日(月)

安斎 勇樹さんにお話を伺いました。
安斎さんは東京大学情報学環の特任助教でもあり、事業開発や組織改善、人材育成を支援・伴走するデザインコンサルファームMIMIGURIのCEO / Founderであり「問いのデザイン」という著書も執筆されています。

良い問いが良い答えを生む


安斎さんはワークショップデザインを得意とした事業を展開されていますが、学生時代に100年以上の歴史を持ち 当たり前の世界を捨て去る営み のワークショップにハマったことからスタートしたそう。固定概念に縛られ、狭い世界の中で主観的に見てしまう人間の思考から抜け出す発想を生むことに興味を持ち、子ども向けのワークショップをしていた際に出会った吃音の少年から大きな発見を得たそう。吃音でスムーズに話せない彼が、ある問いをきっかけにスラスラと話し始めることができたそう。彼のまだ見ぬ力を発見した瞬間に、問いの可能性に希望を持ったとともに、安斎さんが熱中する契機にもなったそうです。

良い問いから良い答えが生まれる

ワークショップについても、「問い」の内容によってそのワークショップの生産性が左右されるそう。単にお話しが上手いファシリテーターではなく、いかに参加者を創造的にできるか。を探求されています。
例えば、未来のカフェを考えるというワークショップで ・居心地のいいカフェと・ちょっと危険だけど居心地のいいカフェ とテーマを分けて実施したところ、後者のグループの方が圧倒的にアイデアが創出されたそう。まさに「問いのデザイン」ですね。ワクワクします。
 企業の課題に対して、ファシリテーションとして参加する際は、時間軸も添えて様々な問いを適切に組み合わせながら、参加者の創造性を引き出すのが、真髄であると述べられていました。
 また、もう一つ重要な要素として「遊びのデザイン」も必要であると述べられていました。世の当たり前を揺さぶったり、日常のしがらみや固定概念から解放されるためには、遊び心が大きな力を発揮してくれるそう。


これこそが良い問い

例として、紹介されたこの資生堂の行動指針をグローバル全社へ落とし込むプロジェクト

数万人にも及ぶグローバル社員に行動指針を腹落ちさせるという難しいお題をに彼が安斎さんが立てた問いは、

トップが定めた8つの行動理念をチームの実態に合わせて「一つだけ差し替える」としたら?

全社員がトップが制定した指針にある意味ダメ出しをするという、少しアブナイこの問い。少しハラハラしながら、ワークショップと言う許された空間を思う存分に利用して、色々言えちゃう場を作る。その遊び心さすがです。
また、差し替える行動理念に対して、日々の実態と差し合わせながら、ディスカッションを重ねる中で、知らぬ間に、8つの行動理念がしっかり腹落ちされていると言う巧みな設計なのです。。素晴らしい問いのデザインです。

自然に創造性を高が高まるような「遊び心」を加えることで、秀逸な「問い」をデザインされる安斎さん。あっぱれです。
安斎さんの記事がすごくすごく面白く、研究を重ねている熱心さを感じるので、ぜひご覧ください。


他の方の講演からも感じることなのですが、人の心が自然と動く瞬間に良いデザインと言うものは生まれるのでしょう。その人間が輝く瞬間を、社会に生かすために、私たちは学んでいるのだなと感じます。



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