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深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン 第18章 飛行よ、飛行よ 集結

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一月のパリは寒い ようやく捕まえた旅の終わりの汐どき ふたたび旅を楽しみ始めている 日本人とわかると目を逸らす日本人 醜いもの 松田さん 屋根裏部屋 パリは暮らしやすい 旅はサグレスで終わっているはず 句点を打っていない文章 エッフェル塔に昇らなかった パリの最後としては悪くない一夜 記念にトラブル フェリー あれがイギリスか From Youth to Death 列に並ぶのもこれが最後 厳格な入国審査 アラブ人の入国拒否 不吉な予感 係官がブザーを鳴らす 小部屋に案内される 憤りと恐ろしさの混じった奇妙な気分の高まり 徹底的に調べられている 自分の運も尽きたかな 天罰はてきめん 理由もないのに取り調べられるのは不愉快だ 日本人 啖呵を切る英語力がない 不法就労を懸念された さて行くとするか ロンドンの中央郵便局 旅の本当の終わり 日本に帰る現実感がない 妙に無感動 ワレ到着セリなのかワレラ到着セリなのか 君はここから電報を打てない 電報は電話から打てるんだよ クックック ワレ到着セズ まだ旅を続けていいんだ 


旅の軌跡
香港→マカオ→香港→バンコク→チュンポーン→ソンクラー→ハジャイ→バターワース→ペナン→バターワース→クアラルンプール→マラッカ→ジョホールバル→シンガポール→カルカッタ→キウル→ガヤ→ブッダガヤ→パトナ→ラクソール→ビルガンジ→カトマンズ→ビルガンジ→ラクソール→パトナ→ベナレス→サトナ→カジュラホ→ジャンシー→デリー→アムリトサル→ラホール→ラワルピンディ→タクシラ→ペシャワール→カイバル峠→ジャララバード→カブール→カンダハル→ヘラート→イスラムカラー→カルカレフ→テヘラン→シラーズ→ペルセポリス→イスファハン→テヘラン→コム→バザルガン→エルズルム→トラブゾン→アンカラ→サムスン→イスタンブール→ケシャン→イプサラ→アレクサンドロポリス→テサロニキ→アテネ→ミケーネ→スパルタ→ミストラ→トリポリ→オリンピア→アルゴス→ブリンディジ→バーリ→モルフェッタ→トラーニ→バルレッタ→フォッジア→ローマ→フィレンツェ→ピサ→ジェノヴァ→モナコ→マルセーユ→バルセロナ→バレンシア→マドリード→バダホス→カヤ→エルヴァス→リスボン→ラゴス→サグレス→ラゴス→ファロ→ヴィラレアル→アヤモンテ→ウェルバ→セビリヤ→マラガ→トレド→マドリード→パリ→カレー→ドーヴァー

ついに最後の国イギリスにやってきた主人公。
カレーからフェリーでドーヴァーに渡り、そこの入国審査でトラブルに見舞われる。
もっとも、順調すぎて、最後ぐらい思い出になるようなトラブルでも起きないかと
期待していたことが現実化したので少し後悔している。
入国審査官が一人一人丁寧に入国事情などを質問し、
パスポートにスタンプを押しているが、主人公の前のアラブ人二人でかなり時間を要していて、結果、アラブ人のうち一人はイギリスに入国できず。

そして主人公の番になり、質問を受けそれに回答しているうちにブザーを管理官が鳴らし、別の小部屋に案内されることに。
これは不安だろう。

私の体験談だが、入国直前になって国の指導者の方針が変わり、少し前ならビザが入らなかったのに、直前になってビザが必要になったという。
そんなの知らんと思って、ごねているうちにビザの申請ならこちらへと案内されたものの、昼休み。それが終わっても長蛇の予約列。
これでは当日中に入国ができないと思い、引き返そうとしたが、パスポートをごねているときに預からせることになっていたのを思い出して返してもらうために別室に案内された。絶対的に力関係ではこちらが弱いので、方針に従うしかない。
とにかく入国審査で引っ掛かったら時間もストレスも増える一方なのであまり経験したくない。

話を戻そう。

ロンドンに来た主人公はひととおり街を散策し、
最終目的であるロンドン中央郵便局で電報を打つために、その郵便局に向かう。
その道中の心境が興味深い。
いざ日本に帰ることになるかと考えると妙に無感動で、現実感がない。
頭の中でファンファーレみたいのがなっても良さそうなものだが、どうもそぐわないようだ。
そしてとうとう郵便局に着く。
入国審査でトラブルがあったにも関わらず、やはり順調に進んでしまうことの退屈さを感じる主人公は旅に毒されている。
さて電報の電文を書く段になって郵便局員に笑われる。
君はここで電報は打てないよ、と。
そう、電報は郵便局ではなく電話局でしかできないことに気づく。
そしてさらに、電話局に行かずとも電話から電報が打てるという。

つまり郵便局に行かなくても、いやロンドンにいなくても電報は打てたということだ。
郵便局に行かなちゃという思い込みに
クックックと笑いが込み上げてくる主人公。
これなら旅を終える必要もない。
まだ続けてていいんだ。
ワレ到着セズと電報を打って、船でアイスランドに向かう。

補足:小説はこれで終わりだが、巻末に井上陽水と著者の沢木耕太郎の対談
「森の少女とカジノの男」というのがあるが、
これが面白い。
これについては読書感想文は書かない。
ぜひ本書を取って読んでいただきたいと思う。

あぁ旅が終わった。
またそして旅は続くなぁ。


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