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人の列

列が人間の列がある人間だけの列がある
周りには列に加わっていない者は居ない 何の列だろうか
年齢層もバラバラで服装もバラバラで
バスローブだかを着ているのは狂人だと思っていたが
パジャマがちらほらあって持ち物はリュックが多く
手で持つような鞄類は落ちている
倒れている自転車、転がる老人車、車椅子
路上に停まる車、白杖、誰も彼もが歩いている
何処かへ向かって歩いている 
手は空いていて何も掴んでいない
目が合った気がした 目を合わせてはいけない気がした
それは気のせいで目を見てみると 全ての老若男女同じ目玉
丸く削った砂岩の塊り
脳の無い表情が違う顔で動いている 
手と足がバラバラザラザラとただ動き
列に隙間は無いほどのパーソナルスペースで
左わきを辿って先頭を目指した
足が滑る 肩に背負った上着を落とす
木に似た草が倒れ何度も踏みつけられている
振り返るとずっと前から道では無かったようだ
段々と足に疲労が溜まる 上着を捨てシャツを脱ぐ
体がひりひりと傷み 設置されたロープを独占し
足で転がり落した石が割れた
子供がどう考えても5歳くらいの子供が
大人でも辛い急斜面を普通に登る
息も絶え絶えに腰を下ろした
山の頂上には腰を下ろした先には 穴が開いているらしい
変なのは中が此処から見ても分かるのだが明るいことだ 
視線をずらすと 人間がポトリポトリと落ちていく
そこに向かって次々と飛び込んで ポトリ ポトリ ポトリ 
落ちては小さな湯気が上がる ポトリ ポトリ ポトリ
シュッと音が鳴って湯気が上がる ポトリ ポトリ ポトリ
たまに崖の岩に当たりながら
不器用に落ちる者もある ガッガッガラガラゴロン
全人類が此処に、のけ者の僕を残して ガッガッガラガラゴ
此処に飛び込んで行くのだ ポトリ ポトリ ポトリ
それを崖の淵に座って眺める ガッガッポトン
落ちる順番を礼儀良く待ち 此処に穴に飛び込んで行くのだ機械的に落ち ゴロゴロゴロボトン 
シュッと湯気 たまに岩にぶつかる音 たまに岩の落ちる音


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