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【1分小説】32# 推し :信念

「皆さん、今日もありがとうございました‼」

……

パチパチ。
「今回も配信チケットしか取れなかったな……」
「会場の倍率どんだけ高いんだよ」
パソコンに向かい、独り言を呟く男性。

ピロンッ!
「あっ、“ゆうじ”からlineか」
「“今日暇?”」
ギィ…
男性はゲーミングチェアに、もたれかかる。

スッスッ…
「今日は…推しの余韻に…浸りたいので…パス…っと」

ピロンッ!
「返信早いなー…ん?」
「“お前まだ、あのアイドル推してるのか?”」
「“数年前みたいに毎週握手出来る人じゃないんだぞ”」
「“俺はもう推せてる感じがしないよ”」

「そうだったな“ゆうじ”も俺と同じアイドルの推しだった」
「でも推しが手の届かない所へ、いってしまってから“ゆうじ”は……」
「俺はいいさ、だって…」

羽ばたいていき、落ちないように支え、時間が経ち
さらに多くの人が支えるようになった。
だが、その紙飛行機が飛んでいくのを観てた時間は古参の方が長いんだから。

1分間立ち寄って頂き誠にありがとうございます。
あなたの時間を奪ってしまい、大変嬉しく思います。
また次の作品であなたの時間が奪われぬよう、ご注意下さい。

私の1分じゃない小説はこちら。

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