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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㊹

「お金がどんどん出ていきます」

 
「うんめい」の出会いの真っ白いトイプードルくんは
生まれてから5ヶ月経っていたその頃
なかなか家族が見つかっていないようでした
 
夫が黙っていると、次女がついに泣き出しました
「私がぜったいめんどうみるから」
「パパ、おねがいだからこの子うちの子にして」
「おねがい」
大きな瞳から涙が溢れています
 
こうなったらもうパパもお手上げです
いろいろ手続きをして、うちの子になった
真っ白いモフモフを抱っこして家路についたとき
もう外は真っ暗でした
 
ようこそわが家へ
次男は2004年5月21日生まれ
名前は真っ白なので、
「クリーム」と娘が命名
愛称「くーちゃん」です。
 
きっとくーちゃんが生まれた時に長男のたっちくんと連絡を取って
「たっちくん、お疲れ様でした。僕が産まれたから、安心して天国で楽しく暮らしてください」
「そうだね、ありがとう。パパとママとお姉ちゃんたちをどうぞよろしくね」
「いつか天国でみんなで会おうね、楽しみにしているよ」
とでも話したのではないでしょうか
 
さて、長女は中学3年生になりました。
中学生はいろいろ難しく、あまり学校へ行けていませんでしたが、
個別指導の塾へ通い高校受験も頑張りました。
ピアノも大好きでコンクールにも挑戦。
どんなことも全力でぶつかり、逞しくなっていきます。
次女も中学入学です、小さな体で重たいリュックを背負って、
吹奏楽部の朝練に出かけていきます。
冬などはまだ星が光っている時間から一人で家を出ていく頑張り屋さんです。
当たって砕けている姉を見て、思うところもいろいろあったでしょう。
いつも1歩引いているような女の子です。
 
私はというと、いろいろあった娘たちの大事な時期
自分が仕事で疲れていては、よくないのではと思い
しばらく家にいようと、長女の高校入学に合わせて
専業主婦に戻ることにしました。
 
さて、大人しく専業主婦でいられるでしょうか
 
長女は私立の女子高に進学しました。
バスと私鉄を使い毎朝ラッシュの中、登校しなければなりません。
中学はほとんど行けず、卒業式も出席できませんでした。
それでも卒業なんて
「中学校の課程を卒業したことを証する」って
何なんだろうと納得できませんでした
なので、高校へ通えるかとても心配しましたが、
入学式の次の日の朝です
何事もなかったかのように起きてきて、朝ご飯を食べ
お気に入りのかわいい制服姿で、
「行ってきまぁす」
と家を出ていきます
「行ってらっしゃい、気をつけてね」
と見送りながら
久しぶりの、このなんでもない普通の朝の光景が
心から嬉しく泣きそうになりました。
 
次女は中学2年生です。
吹奏楽部も後輩が入部し、先輩などと呼ばれる立場になったようです
この頃は私が長女のことでいっぱいいっぱいだったのをわかっていて
あまり学校のことなど話してくれませんでしたが
辛いこともたくさんあったようです。
大人になってから、中学時代のことを「黒歴史」と言っています
が、頑張って卒業してくれました
高校は長女とは別ですが、やはり私立の女子高です。
塾も個別指導へ行っていました。
 
お金がどんどん出ていきます
夫のお給料もボーナスも右から左へ通り過ぎます
やっぱり、専業主婦ではいられません。
「よし、働くか」
でも、もういくらなんでもM所長には頼れませんから
またまた、新聞折込の求人広告を見る毎日が始まりました。

就活、嫌いじゃないのでウキウキしながら・・・ですが
 

 


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