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梅雨空

 梅雨空で大ぶりの雨粒が大音量でアスファルトに叩きつけられた黄昏時。ふと空を見上げれば黒っぽい色の雲が桜色に染まった。桜色の雲は芸術的で非現実的で幻想的。人間世界ではない別世界の置き土産のように感じる。空が綺麗なはずなのに醜く見える。空が美しいはずなのに気持ち悪く見える。空が麗しく見えるはずなのに歪んで見える。桜色の雲が世の中綺麗なものばかりではないことを醜く汚いものにも価値があることを表現している?それとも何かしら別の意味を表現している?
 すぐ隣で帰りがけの小さき子どもが梅雨空を指さしながら笑顔で「さっきまで泣いていたお天道様がやっと笑顔になった」口にする。若しかして小さき子どもには梅雨空が桜色の雲が笑顔のお天道様に見える?小さき子どもの瞳を見て疑問を抱く。いつから単純なものまで複雑に考えるようになった?いつから小さき子どもの瞳を捨て去り大人の瞳を手に入れた?

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