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母ちゃんだって創作したい!わが子2人がお先にクリエイター②

 インチキ地方編集者の社畜生活に行き詰まりを感じて、ついに上の子が小3のときに無事、夢の事務員に転職。落ち着いた数年後に実家を出て独立して、ようやく、創作の時間を手に入れた……、と思ったが、今度は結果がついてこない。
 純文学から、エンタメに河岸を変えたのがいけなかったかもしれないが、それまで、賞に出せば、獲れないまでも予選は必ず通っていたのに、まったく箸にも棒にもかからなくなってしまった……。

 不思議。やはり忙しくても、刺激に満ちた編集者時代は、創作脳が良く働いていたのかもしれない
(エンタメが向いていなかったのかもしれない)

 それでも、私は子供と一緒にいられて、正社員の職があって、創作をしていられることに満足して、幸せだった。

 子育てはいろんなことがある。
 私と子供たちも、決して簡単ではない道をたどってきた。これはまたいつか、改めて書こうと思う。
 でも、声を大にして言いたいことは、子供と一緒にいられて幸せだっということ、苦しい中にいる当時でもそれは疑わなかったということ。
 そして、執筆という夢は、キーボードを叩いていないときでも、常に私の中のどこかにあって、生きていることに輝きを与えていてくれたことだ。

 上の子は、クリエイティブ系の専門学校に通い、私の目から見ると、その当時からすでにスターのように扱われていた。卒業後は就職したが、すぐに独立した。
 下の子は大学の法学部に進学し、法律研究会に所属し、そして、まったく就職活動をせずに親の目をくぐるようにして、上の子とは違うジャンルのクリエイターになっていた。

「ママお勉強(執筆のこと)がんばってね」
 といって、肩を叩いていてくれた小さい頃を思い出す。それをやってもらうと、万年寝不足の私は、その場で寝くずれてしまうのだけれど……。

「クリエイティブな仕事はいいぞ」
「好きなことをして生きていきなさい」
 とは、多分私は、一回も口にしていないと思う。
(出版社は人殺し会社だ、とか、法学生は宅建ぐらい取っておけ、とかつまんないことは言った)

 何か背中を見ていた、のだろうと思う。まるで、結果を出せていない母ちゃんではあるけれど。
 まあ、母ちゃんの一番の作品はクリエイター二人かな、今のことろ。

 家で仕事をしている人が二人いる我が家は時としてカオスである。私の寝室兼書斎はキッチンと一体なので、大悲劇である。
 空の弁当箱はゴミ箱からあふれ、流しも悲惨なことになっている。
時々私の目は吊り上がる。
「私の創作時間を横取りするな~!自分たちで片付けろ。母ちゃんだって創作したいんだからなっ!」
(終)


 

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