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「どっち・・・?」

「散歩の記録」

登場人物
ジュン ・・働いている人
かおる ・・ 同上

ジュン  「なんでも出来るってええことないな、不器用の方がええかも
      れんな」

かおる  「隣の芝生が青、見えるんちゃうん」

ジュン  「そうかもしれんけど、ちゃうと思うねん」

かおる  「何や?ほな、何んでもかんでもせえへんかったらええやん」

ジュン  「そやけど、でけへんねん」

かおる  「なんで、簡単なことちゃうん」

ジュン  「そやな、例えば、何か覚えることが3つあって、3つでも2でも1つでもええとするやん。念押すけど1つでもええねんで。けどや、ボクは、全部、一応無難にしな、アカンようになるねん」

かおる  「そうなんやー、ウチは放っとくで。1つをたっぷりするわ。それにな、覚えたいか、覚えたくないかあるやん。興味なかったら見向きもせんな」

ジュン  「そうか、ボクは、結局、広く浅くなってしまうねん。ツマンナイなー・・・」

かおる  「そんなこと云うたかて、ウチは1つのことしかでけへんねんで。怖いやん」

ジュン  「その方がええと思うねん。他のこと出来へんかったら、その1つのことに執着するやろ」

かおる  「でもな、失敗したら一巻の終わりやで」

ジュン  「そうや!ほやから、覚悟が違うねん。器用貧乏な奴とはな」

かおる  「そうか?でも、いろんなこと判ったりして幅広なるやん。ええんちゃうん!」

ジュン  「そんなんアカンねん。結局、誰でも出来るようなことしか、出来へんようになってしまうんや」

かおる  「でもな、仕事、なんでもかんでも選べるようになるやん」

ジュン  「そかな、そっちは、ドンドン突き進んで専門家になれるやん。プロやん!」

かおる  「そやけど、こっちは1つのことしか判らへん。他のこと知らんねんで。それは、それで、寂しいやろ」

ジュン  「そんなことない、1つのこと極めればそこからいろんなモノが見えてくるって!・・・ええやん」

かおる  「ほな、なんでそうせえへんの?」

ジュン  「言ったやろ、でけへんねん」

かおる  「いったい、どないしたん?・・・とにかく、行こ!」

ジュン  「どこ?」

かおる  「あんたの面接やろ!」

ジュン  「ボク、逃げてんちゃうんかな・・・」



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