見出し画像

幼いままの君を見ているとホッとする。【ショートショート】

わたしは泣けてきた、
残り一年で一体何が出来るんだろう。

手元には貯金もない。
行きたい場所も、欲しいものもない
というか、そんなものを買うお金が、ない。

今のわたしに出来ることは、
入ったことのないスタバの
盛り盛りのフラペチーノを
ドキドキしながらいただくことが精一杯。

だって、毎日、毎日、繰り返されるいつもの日常を過ごさないと、
毎月の生活すら送れない。
これがリアルだ。


もともと、体力的にも能力的にも今の仕事に限界を感じていた。

記憶がまだらで、同僚が一度に覚えられることが、出来ない。
何度も頭の中で繰り返しイメージし、
声には出さないけれども、唇を何度も動かし、
演技するように練習しないと、スムーズに会話も出来ないのだ。

もう、辛い仕事を続けて行くよりも、
好きなことをして、生きてみたい。

計画はあった、仕事は続けながら、貯金をしていこう。
貯金が貯まったら、今の仕事を非正規職員にして
お金にならないやりたいことを思いっきり、やってみるんだ。

ほんと言うと、残してしまう母のことが心配。
計画の中にも、できれば、母の暮らしを守ってあげるだけの
資産を築いてあげれたら、なおいいと考えていた。

でも、それは元々無理だったのかもしれない。
ごめん、母さん。

好きなことをやり始めるのに遅いことはない。
諦めて引っ込めてしまうことの方が、悲しい。

完璧でないままで、
荒削りの、幼いままの君(自分)の方が
(自分で)見ていて何だか、ホッとする。


『等身大でいい、そんなあなたでいい、大丈夫、大好きだよ』
言い聞かせるように、自分自身に腕を回して、そっと抱きしめる。
そしてスーと鼻から胸にかけて息を吸いこみ。

落ち着いた。

そしてこの手のひらの中で
可愛らしい言葉達が動き出していく。

note

わたしは、今日もnoteに向かって書いていく。

残り1年のことを忘れるように、夢中になる。












最後までお読みいただきありがとうございました。

前作 『そのメールには…。』の続きのつもりで書きました。

そして、一言、宣伝させてください。
この度、創作大賞2023に短編小説で応募いたしました。

初小説 初応募の投稿でお恥ずかしい限りです。
もしよろしければ、お立ち寄りいただければ幸いです。

『僕の中に路瑠がいる』では
主人公路瑠の、青春、結婚、困難、出産、そして
病に倒れた夫のこと

家族に恋した、家族の恋愛小説と思い
投稿させていただきました。

↓  『僕の中に路瑠がいる』です ↓


この記事が参加している募集

眠れない夜に

最後まで読んでくださりありがとうございます。 もしよろしければ、サポートして頂けると嬉しいです。 記事を書くための書籍購入に使わせていただきます。