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不器用な「愛(love)」から「黄金の少年、エメラルドの少女」

<文学(86歩目)>
「不器用な愛(love)」の短篇から人生を考えてみる。

黄金の少年、エメラルドの少女
イーユン リー (著), Yiyun Li (原名), 篠森 ゆりこ (翻訳)
河出書房新社

「86歩目」は米国在住の中国人作家、イーユン・リーさんの短篇集。

ノーガードで何気に手に取ったのですが、素晴らしいでした。
「優しさ」「獄」「女店主」「「花園路三号」「流れゆく時」が特に心を突いて良かった。

「優しさ」
兵役に赴く女性たちの物語。私は軍隊生活の中での魏(ウェィ)中尉との関係よりも、わき役ですが杉(シャン)教授と主人公の関係と父母と主人公との関係が心を突きました。
読んだ後に何時までも残る「不器用な愛(love)」を痛切に感じました。

「獄」
この短篇集の中でも一番衝撃を受けた。代理母の問題で、代理母を選択する一蘭(イーラン)と代理母になることを選択した扶桑(フーサン)とのやり取りに、この問題の本質がわかった。生殖にかかわる倫理問題で、私の頭が至らずに気づかなかったことを突き付けられた。
出会えて脳に問題意識を残してくれた作品でした。

「女店主」
金(ジン)夫人という篤志家を中心に、「待つ」立場の登場人物が織りなす様々な「不器用な愛(love)」を突き付けられた。
今まで考えもしなかった「愛(love)」を知ることができた。
短篇ながら、極めて深いところを突いた作品でした。

「花園路三号」
太っちょおじさんの常(チャン)氏と美蘭(メイラン)とのやり取りと最後に決めた選択がとても「不器用な愛(love)」なのだけども、なんか自分も歳をとったのか、小品ながら心を突いてきた。
よくあることなのですが、文章の美しさとともに心に深く残った。

「流れゆく時」
ここで何時も「愛(love)」をお題にしていますが、「憎しみ(hatred)」も同じ様にちょっとした無意識から生まれる。これを痛切に突いている作品です。

初めてのイーユン・リーさんの作品ですが、心を掴まれてしまいました。
なんとも言えない余韻にひたれ、また「優しさ」に癒された。
イーユン・リーさんと篠森ゆりこさん(翻訳者)。
いっぺんにファンになりました。素晴らしい。

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