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【体験談】文系から理数系への転身

1.はじめに

 本記事では、文系から理数系に転身した筆者の体験談を綴ってみようと思う。

2.文系学部から理数系修士課程へ

 筆者の学部時代の専攻は政治経済学系であったが、学部1年生の秋に社会工学という文理融合系の分野に興味をもち、その分野を学ぶことをモチベーションに、集合論や位相空間論、微分積分学、線型代数学、複素関数論といった工学系の1、2年生程度で学ぶような基礎的な数学の独習を始めた。
 学部2年生以降はルベーグ積分論や抽象代数学などの数学科向けの教科書も少しずつ読むようになった。他方、文系分野においても政治過程論や行政学、数理経済学などの分野を中心に本を読み漁った記憶がある。
 学部3年生時点で、あまり文系就職に魅力を感じなかったため、理数系研究開発職に就くことを目標に、理数系の大学院修士課程に進学することを明確に志すようになった。
 結局、就職活動はほとんどせず、院試対策としてこれまでに学んできた数学を復習するとともに、修士での研究計画を練ることに時間を費やした。
 結果的に、数理情報系の修士課程への進学が決まった。

3.修士課程から研究開発職へ

 大学院修士課程では、理科系ではなく数理情報系を専攻したこともあり、実験による長時間拘束もなく、マイペースに学業、研究活動に専念できた。講義が終わった後、深夜まで研究室で仲間と数学の議論を交わすこともあった。
 進路については、数理科学をベースとした研究開発業務に携わりたいと思い、金融業界のクオンツという職種を志すようになった。クオンツは、採用段階において確率解析やプログラミングの知見を問われるということもあり、半年ぐらいはその勉強に追われた記憶がある。
 修士2年生の4月には就職先が決まり、その後は修士論文を執筆しつつ、専門外の数学分野の勉強も楽しんだ。一時はキャリア官僚を志した時期もあったのだが、配属リスクや給与水準などを総合的に勘案して思い留まった。
 尚、漠然と博士課程進学にも興味があったが、そこまでの本気度ではなく、修士(理学)の学位をとって就職することとなった。

4.社会人から博士課程へ

 就職後、研究開発職となると博士号を取得している同僚も多く、研究者として生きていくためにはまずは博士号をとらないと土俵に立てないことを思い知った。また、ある研究領域で世の役に立ちたいという思いもあり、修士課程修了から3年半のブランクを経て、27歳にて博士課程に進学する決断をした。
 進学準備期間は半年程度で、興味がある分野の論文サーベイと必要な数学知識の補完を行い、研究計画を構成していった。
 博士課程の入試は口述試験が中心となるわけだが、研究計画及び過去の研究成果、そしてそれらに関わる定義や主定理などを説明できるように準備しておけば十分合格できるものであった。
 ちなみに本記事を書いている時点ではまだ入学前なのだが、働きながら研究成果を出すのは結構大変なことなのだろうとは思っている。
 ここまで色々書いてきたが、伝えかったことは苦労話ではなく、文系だとか理系だとか、これまで生きてきたバックグラウンドなんて気にしなくてよいということだ。筆者よりはるかに優秀なスキルをもっていながら、無理だと決めつけて行動しなかった人や諦めてしまった人を何人も見てきた。熱意のままに行動してみれば案外どうにかなるものなんだ、ということを読者に伝えられたら幸甚である。

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