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今、なぜ”音”が来ているのか?生活者が耳で広告を見る理由。

皆さん初めまして。株式会社D2C Rでクリエイティブディレクターをしている郡(こおり)と申します。

ClubHouse・Spotify・radiko・TikTok、近年多くの音声・音楽系SNS、ストーリーミングサービスなどが世の中に浸透してきています。海外では<ソニックブランディング>や<サウンドマーケティング>という言葉もあり、活用が進んでいる”音”。…日本ではまだまだ事例が少ないですが、皆さんの肌感覚では最近「なんとなく音来ているなぁ…」と感じている方も多いのではないでしょうか?                           今回は「なぜ今、音が来ているのか?」を6つの理由で紐解いていきます。

◎音にはどんな利点があるのか?          

…といきなり理由をお話する前に、皆さんそもそも”音”ってどんな利点が あると思いますか?(すぐに本題にいきたい方は、スキップを!)下の図は<生活者視点の音の有効性>として、生活者が音に触れた時の要素をまとめたものになります。1つづつ解説していきます。

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改めて音って私たちにとって魅力的ですよね。ここから6つの理由です!                                 

【理由①】音楽聴取のプラットフォームの変化

まず大きくプラットフォーム上の変革がありました。以下の図は2018年上半期のアメリカの音楽業界の収益比率のグラフですが、ストーリーミングサービスでの収益が全体の75%になっています。ストーリミングが主流になった=音楽聴取スタイルが変わったことで”いつでも、すぐに、気軽に”音楽を楽しむ環境ができあがったことで生活者が音楽=音への関与が総体的に高くなっていった背景があります。

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※2019年9月30日電通報より

<デジタル音声広告が大きくシェアを伸ばす>             そのストーリーミングサービスの代表格がSpotifyやradikoです。そこにはAD(広告)を差し込むことができます。ストーリーミングが主流になったことで従来のラジオ広告がデジタルシフトし、デジタル音声広告(別名:オーディアド)に変わりました。デジタル音声広告とはわかりやすく言うと、インターネットを通して配信される音声を主軸とした広告のことを指します。以下グラフはアメリカのデジタル音声広告の収益グラフです。2017年と2018年の差を見ても急成長している市場がおわかりいただけるでしょうか。

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※2019年9月30日電通報より

日本のデジタル音声広告の推移予想(以下グラフ)を見ても2021年以降急成長していく市場であることが推計されています。

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※デジタルインファクト「デジタル音声広告市場規模推計・予測」

この急成長の背景にはデジタル音声広告のメカニズムが隠れています。

◎従来のラジオ広告ではできなかったターゲティングが可能           ◎広告接触者と非接触者の差異による精度の高い効果測定が可能                       ◎基本的にスキップ不可なのでシームレスな広告体験を提供できる

以上のような利点があるので、広告出稿側である企業も積極的にデジタル音声広告を取り入れるようになり今現在も市場を加速させていっています。

【理由②】音声系ガジェットの進化                

続いてAmazonEcho・Googlehome・AppleAirPodsなど、音声系ガジェットが次々登場したことも、音市場の活性化の要因の1つと言えます。これGAFAが音のインフラを整え出してきているとも言えるかもしれません。生活の中に音声系ガジェットが根付くようになったことで、AIとの声によるインタラクティブなコミュニケーションが増えてきました。それによって海外では例えば、アレクサを使った広告施策なども見受けられるようになりました。

アレクサ

<海外ではアレクサを活用した施策も!>
2019年カンヌライオンズのラジオオーディオ部門を受賞した“WEST WOLD THE MAZE”はまさにアレクサを巧みに使った施策でした。これはアメリカで人気のテレビドラマのプロモーションを目的としたもので、参加者はアレクサを通してテレビドラマに出た登場人物(の声)と会話としながら、音声上のRPGのようにストーリーを進める仕組みでした。この施策は1人あたりの接触時間が15分にも!それだけ参加者が夢中になった=施策が成功した、と言えます。私の推察ですが、今後このような音声を軸としたインタラクティブな施策が増えていくような気がしています。

ウエストワールド

【理由③】音楽系SNSの台頭                     

2017年日本でサービス開始したTikTokも、日本の音市場を牽引しました。TikTokは世界総ダウンロード数30億を突破しているダンス&音楽系SNSです。参加者が流行りの”音楽=音”に乗せて歌い踊るコミュニケーションが定着したことで、人々は気軽に音に触れる機会が増え、音が流行っているという印象が浸透していったように推察します。2018年には流行語大賞にもノミネートされ、TikTokから流行った楽曲も多く、(記憶に新しいところで言うと、「香水」や「ポケットからキュンです」など!)今はミュージックシーンを牽引しているSNSにもなっています。このパワーを企業が活用しないはずもなくTikTokでのプロモーション施策も増えました。こうして、音楽SNSの登場→音楽市場の活性→音広告の顕著化という流れになり、「なんか音、来ているよねぇ…」という印象を加速させていったのです。

<TikTokの”音”施策も!>                      日本マクドナルドさんが展開した♯ティロリチューン(以下画像)施策はまさに音をフックとしたコミュニケーションとして成功しました。これは皆さんもマックの店内で一度は聞いたことがあるポテトが揚がる時の音♪ティロリティロリティロリ・・・♬をアイデアの中心にしてTikTokのハッシュタグチャレンジ広告で展開したものです。もともと日本マクドナルドが持っている資産としての音源=ポテトが揚がる時の音を上手く活用したプロモーションと言えます。今後も企業が保有している音やアイデアを音化した施策は増えていくのではないかと予想しています。

マクドナルド

【理由④】音声系SNSなど新プラットフォームの台頭        

記憶に新しいClubHouseで、「音来てるかも!?」と思った方も多いのではないでしょうか。ClubHouseは当初招待制の音声チャットSNSとして2021年1月に日本にローンチ後、ブームとなりました。その後追随するようにTwitter社がSpacesを発表したり…こうした音声=音を軸としたプラットフォームが次々と世の中に出てきたことも、生活者の音への接触が増えていった理由です。

【理由⑤】パンデミックによる生活態度の変化             

コロナの影響も生活者の音への関与度を高めました。リモートワークなど人々の生活様式が一変したことで、ご自宅での仕事や家事の合間にストーリーミング放送や音楽を<聴きながら>、または動画やTVを<見ながら>、といった【ながら視聴】が増えたのです。おのずと耳からの情報取得が多くなった→”音への関与時間”が増えたと言えます。理由②で触れたように音声系ガジェットの進化で、今は、自宅にいてもノイズキャンセリング機能のあるワイヤレスイヤホンをつけながら過ごす方も多くなっています。そのような生活態度の変化も影響しているかもしれません。

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<”ながら視聴”を意識した広告施策も!>
2021年に日清カップヌードルが展開した「8つの味」CMはご存じの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。「今から8つのCMを同時に流すよ!」という冒頭アテンションに生活者は思わず、目も耳も動画に集中しなればならない。”多重音”という音をフックに<ながら視聴>を強烈に意識したクリエイティブでした。生活者の視聴態度を意識し、それを巧みに使ったプロモーションも今の広告にとってキーワードの1つとなります。

【理由⑥】 目の可処分時間が臨界点に達した           

6番目は可処分時間のお話です。2015年~2017年あたりにかけていわゆる動画ブームが到来していました。企業はこぞって動画施策を取り入れて、バズ動画やバイラル動画と言われものが多く世の中に出回っていた時期です。 視聴全盛期でした。

(余談ですが私も当時動画マーケティングに携わっており、そのころは無音視聴70%以上というデータをもとに、「人々は音は聞かない。目で見るので、動画においても音よりテロップが重要」と話しておりました…) 

その後、動画ブームが落ち着いてきたあたりから前述の理由①②などの経緯で音が台頭してきたのですが…そもそもなぜこう変化が起こったのか?これは、目の可処分時間が奪いつくされてしまった=動画市場がビジネス上の臨界点に達したのではないか、と推察しています。そこで次の市場を開拓する必要があった。そして新しい音のプラットフォームやコンテンツが生まれてきた流れなのかなと思います。

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<音コンテンツがやってくる!?>
一部では「次は音のネットフリックスがくるんじゃないか?」と言われています。その流れはもういくつか来ていて、オーディオコンテンツが数々生まれてきています。これらは、昔のラジオドラマの進化版としてデジタルに変化しただけでなく、急速な技術革新によってコンテンツ自体がリッチになっているという変化も見受けられます。例えば…バイノーラル録音などよりリアルな耳の環境に近い音が提供可能になり、聴き手はドラマの世界に没入しやすくなれるようになってきています。聴き手は映像がない分、より想像力を膨らませることができる。これは、映像にはない音がもつ利点です。音の利点を最大限活用できるオーディオコンテンツはのりしろがまだまだある領域ですので、今後が期待できると言えるでしょう。

以上、音が来ている理由をお話しましたがいかがだったでしょう?音の市場は今、確実に来ています。株式会社D2C Rは”音マーケティング”を今後も継続的に情報発信していきますのでぜひご期待ください。

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writing by 株式会社D2C R|音マーケティング  郡 茜












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