生きていることの醍醐味。【エセ・エッセイ002】
2022年11月、寝台列車サンライズ出雲に乗ってひとりきり、夜の中を運ばれていたとき。心地いい酔いに身を任せながらこんなことを綴った。
(ヘッダーはサンライズ出雲車窓からの写真)
この時に窓の外を眺めながら湧き起こっていた高揚感を言葉にするのは難しい。だけど思い出せばすぐに、ぐっと熱く込みあがってくるものがある。
圧倒的なほどの「自分が生きている醍醐味」がそこにはあった。
ただ自分の感じるものにだけ意識も無意識も注いでいればよく、夜の中を流れ滑っていく景色を飽きるまで眺めていていいという、まったくの自由がそこでは自分に許されていた。
ふいに家々の灯りが途切れると車窓から外は本当に真っ暗で、景色と名の付く何も見えなくてもそれでもよかった。
そういう自由が、自分には必要だったのだ。
そうしてもいいし、そうしなくてもいい。
そうであってもいいし、そうでなくてもいい。
そうした類の自由が。
そしてもうひとつ必要なもの。
それは、この列車が必ずどこかに辿り着いてくれるということ。
いつか必ず終わりが来るということが、今を味わい尽くそうという気持ちをぐっと強く呼び起こさせるのだ。
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