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【勝手に考察】二人のストレンジは、なぜ音符で戦うのか?【『ドクター・ストレンジ/MoM』】

はい!今回も映画噺(バナシ)です。
今回お話しするのは『ドクター・ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス(以下:MoM)(今更だけど)!

MCU最新作でありながら、サム・ライミの『死霊のはらわた』の(系譜的な?)最新作といっていいほど、ライミ感満載の贅沢過ぎるエンタメ作品でしたが、もう公開日数も結構立つのでネタバレ有りでお話します!(ご注意下さい!)

といっても多くは語りません。
今作を存分に語り尽くしているのはYoutube生配信でやりますので、そちらを見て頂くと幸いです。

さて今回重点的にお話しするのは、この映画の終盤で主人公であるドクター・ストレンジ(以下ドクスト)が、マルチバース(並行世界)へ移動し闇落ちした別世界のドクストと戦うという場面があります。

キテレツ博士(ドクターストレンジ)っていうより、死神博士だ!

このシーンでどんな戦い方をするかというと、音符を魔法の力で具現化してぶつけ合うという世にも珍しいバトルをやってのけます。

正直いきなり「なんで?」と思われる方が多いと思うのですが、コレなんとなく分かるのでお話ししようと思います(なんとなくかよ!)。

『MoM』のテーマが分かれば見えるもの。

この映画には様々なテーマが散りばめられていますが、その一つである大きなテーマ、それは『運命との対峙』です(その他のテーマについては上記の動画にて)。

MCU前作で世界の人々の記憶から消されてしまったピーター・パーカーですが、彼はその運命を受け入れることで世界を救いました。

そして今回、その不条理で残酷な運命に抗うのはワンダ・マキシモフことスカーレット・ウィッチ。

あたしゃ、怒らしたらブチ怖いんじゃけぇーね!(広島弁)

今作『MoM』では彼女の最愛の相手ヴィジョンとの別れと、彼との間に"幻想の中で"授かった双子の息子(この物語はディズニー+の『ワンダ・ヴィジョン』の話です)を失った彼女の悲しみが、その運命に対して抗おうと全世界とマルチバースを巻き込んで大事件に発展します。

世界を犠牲にしてでも運命に抗うワンダに対し、それを何とか阻止しようと立ちはだかるドクストですが、その戦いの中で様々なユニバースに飛ばされてしまいます。

その果てに出逢うのが同じドクストでありながら、厳しい戦いと苦悩の果てに完全に闇落ちしたダークサイドのドクスト。それはあり得たかもしれないもう一人の自分であり、そうだからこそ"今の自分"とはかけ離れてしまった存在だとしても、互いにそこに生まれる"共感"には身に覚えがあるのモノなのです。

それはそれぞれのドクスト(個人)が、行動と選択の連続の末に導き出した結果=運命ということにほかなりません。

この"行動と選択の末の結果"というのはまさしく音楽的な状態なのです。

定められた未来としての音符

さて、ここから少し音楽の話をします。
皆さんは何か楽器を弾けますか?あるいは今はパソコン上で音楽を制作するDTMも人気ですよね。

この話は決して難しい話ではないのでとくに音楽の知識や楽譜は読めるか~とかは必要ありませんが、少し想像をして下さい。

あなたは今から音楽、楽曲を作ろうとしています。
どんなジャンルでも構いませんが、聴く人が明るい気持ちになる曲、楽しい曲を作ろうと思っています。

その時点であなたが今から奏でる音楽のメロディー、コード進行はある程度決まってきます(具体的にはD→G→Aとか、G→D→C→Gとか)。

例としてYoutubeのコード進行の動画を張っておきますが、陽気な雰囲気のメロディーが完成します。

どんな音楽を作るときでもそうですが、自分が作りたい曲の雰囲気、ムードがまず頭の中にあり、それは創作の意志、根幹であるわけです。

その意志を起点としてある音を一音鳴らします。
そうすると次に奏でる音は"明るい曲を作る"という意志に支えられ、必然的に音の選択肢は決定してしまいます。

それは僕たちが人生の中で選択を迫られたときに、それを解決しようと次の手を打つ、行動を起こすことによって環境が変化し、さらにまた次の手を打つ、というようにその連続が人生に"行動と選択の末の結果"という構造を作り出し、即ちそれは音楽を構成する構造そのものとして考えられます。

こう考えるとずいぶん分かりやすいような気がしてきませんか?

異なるユニバースで必死に己の正義を貫いてきた2人のドクストが音符を具現化して戦うのは、そういった音楽と人生とを構造的に準えた秀逸なメタ表現であり、それを互いに歩んできた道=運命の衝突として描いています。

どこまで深すぎるんだ!サム・ライミ(ほんとに彼のアイディアかどうかは知りませんがw)!

まぁ、この僕のいう音符バトル=人生のメタ論もあくまで僕の個人的な見解に過ぎませんが、この『ドクターストレンジ/MoM』を楽しむほんの少しのスパイスになればと思い投稿いたしました。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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