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修行無しでも良いですが技術はどこで学ぶのですか

職人と呼ばれる方々はその道の技術を習得した技術者たちです。
ほんの一握りの天才でさえも、学校を卒業してすぐに職人と認められることは稀だと思います。

だから修業は大事、という考えはもう古いですね。


■大工の修行はつらいのでしょうか

1、若い大工のなり手が非常に少ない

大工に限らず、建築業界へ飛び込んでくる若者が激減していることはニュースなどを通じて世間にも広まっていると思います。

人手不足が深刻であるばかりでなく、
若い世代の人手不足は壊滅的に少ないのが現実です。

私たちは建設業者は自分が生きているうちは自分で直していけるので何とかなるかもしれませんが、一般のご家庭ではプロの職人に自宅をリフォームしてもらえなくなり始めています。

そして、その先の時代は、新しい家は建てられるが、リフォームや修理は人の手では出来なくなるかもしれない時代が来るかもしれない・・・、
と妄想、強迫観念、のように言われていたことが、いよいよ現実味を帯びてきているのを実感しています。

2、なぜ大工になりたくないのか

肉体労働がきつい、朝が早い、週休二日ではない、怖い、汚い・・・、
書いていて悲しくなりますが、おそらくは外から見るとこんな印象なのでしょう。

その印象が全くの事実誤認で間違っているとは言えませんが、
これらが、
「だから大工なりたくない」
と言うほどの理由だとするならば、
大工を含めた職人全般はもちろん、
その他の職業でもなかなか大変ではないかと私は思います。

私自身、工務店に努める前には企業に勤めていた経験もありますし、学生時代には建築業界以外のアルバイトの経験もありますが、職人の世界だけが特別にきつい、と言うことはなかったです。

3、修業なんていらない

大工に限らず、職人界隈の話題として良く耳にする言葉です。
いわゆる修業期間は無駄で、すぐにでも実践しながら経験を積んだ方が効率が良いという考えなのかもしれません。
流石に現代で昔のような丁稚奉公はごく稀ですので、見習いのような期間を修業期間と感じるているのでしょうね。

専門的な学校にて知識と技術を修了したのならまだしも、
大した経験が無くてもそのような考えを持っている方に出会うこともあります。

「動画サイトを見ればだいたい分かる」
のは、基本的な知識と技術を習得しているからであり、素人の方が別の素人の方(またはプロ、セミプロ?)が流している動画を見ても、
ただ楽しめるだけでお客様に出せる仕事にまでは到底到達出来ない、
との考えてしまう職人サイドとは相容れないですね。

4、職人が係わる仕事は命に係わることがある

修行の有無は正直に申しますと、どうでもいいのですが、
料理人であれば、お客様が口にするお料理、
大工職人であれば、お客様が暮らすお住まい、
を提供します。

お料理がただ美味しくない、
お住まいがただ美しくない、
だけなら良いのですが(良くはありませんが)、
一つ間違えば、人の健康を害したり、場合によっては命に係わることもあり得ますので、確かな知識や技術が求められます。

5、そもそも修行させてあげられる環境が少ない

昔は修業期間も長く、社会も大らかであり、時間も今よりゆっくりと流れていたような気がします。
その頃は、多くの若い職人見習いが活躍していました。

一方で、現代は、そもそも需要の減少、薄利多売、大手集中、などによって技術の価値、人の価値は著しく低下しています。

そして、使い勝手の良い即戦力ばかりが求めらます。
または、未経験者でもすぐに習得できる作業ばかりを求められます。

その為、修行をさせたいベテランたちと修行をしたくない若者たち、
と言う対立は古い構図であり、
修業をしたいと考えても修行できる場はそれほど多くないのが現実です。

育つのを待ってあげられない時代、
自分で学んで成長していくしかない時代、
とても厳しい時代になったような気がします。

6、修業の有無はどちらでもいい

私は工務店の代表をしておりますが、新しい職人さんがこれまで修行の経験があろうがなかろうが正直どちらでも良いと考えています。

もちろん、きちんと修行してきた方が良いのは間違いありませんが、それよりも、ものづくりに携わるものとして、自分の仕事に責任を持てる人であることが最も大事だと考えています。

その為に修業が必要か、勉強が必要か、練習が必要か、はご自分で判断してこられた結果が今と言うことだと思いますし、これからの行動につながるのではないかと考えています。

■大工になりたい方へ・・・いないか!

皆さんと呼ぶほど多くの方々が大工の道を目指していない現代ではございますが、皆さんが想像しているものと現代の大工の世界は異なるかもしれません。
また、職人さんたちもイメージと実際は異なるかもしれません。

修行なんて表現してきましたが、現代では、職人の世界独特の修行のようなものは殆んど絶滅しており、どこの企業・業界でも初めに仕事を覚えていく過程と同じようなものではないかと思います。

違っていたら申し訳ありませんが、転職へのハードルが低くなっていますので、この世界に飛び込んでみて、合わなければ、別の道を探せば良いと思います。

先入観で避けられているような気がしているので、こうして気持ちを吐露させていただきました。

家を造るって楽しいことも達成感もあるんですけどね。

■最後までお読みいただきありがとうございます