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読書感想文「食味歳時記」

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劇作家の獅子文六の書いた食べ物のエッセイです。1年間各月の美味しい食べ物、料理に関して記述した食味歳時記、色々な食べ物に関して記述した食味随筆の2部構成となっています。重版が続いている本なので内容的にも面白いだろうということで選びました。

獅子文六は戦前からフランス滞在した経験があり、且つかなりの食道楽だったようです。西洋料理と日本の郷土料理、食材の話だけでよくここまでエピソードや料理の内容を覚えているな、と舌を巻きます。読んでいるとお腹が空いてきます。

個人的に面白いと思ったのが、秋田のしょっつる鍋や鹿児島の酒鮨など滅多に食べられない、今となっては希少な郷土料理の紹介も多いことです。気軽に読める内容でありながらも勉強になるので非常に興味深い内容でした。

文化人にありがちなこの料理はこう食べるべき、といった押し付けがましい主張もなく、食味歳時記の最後に「なにが好きだの、かにがウマいのと、人に語ることが、あまり、意味のあることとは思っていない。一人で、自由に食ってれば、いいのである」と締めているところからも、食を自由に楽しもうという筆者のスタンスがよく表れています。自分ももっと食を楽しもうと改めて思い直しました。蘊蓄を語るよりも自分の舌や感覚に素直になりたいというか。

食べることが好きな方にはとても面白く読めると思います。古本屋にも並んでいるでしょうし、図書館で借りられる本だと思いますので、興味のある方はぜひ手に取って欲しいと思います。

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