正しい学歴ロンダリングの仕方―大学院進学という選択肢

学歴ロンダリングとは?

「学歴ロンダリング」という言葉は、ある人が、かつて18歳とか20歳の時点で学んだ「最初の母校の大学」よりも偏差値評価で高い大学に最終学歴を書き換える操作という意味(「若者の芽を摘む学歴ロンダリングの発想」より)

学歴ロンダリングとは、学部は下位ランク大学卒業であるが、大学院試験を経て上位ランク大学大学院に進学し、最終学歴を上位ランク大学大学院卒にすることだ。この手法を使えば、いわゆるFランク大学出身者でも、Sランク大学大学院卒の資格を手に入れることができる。

この「学歴ロンダリング」という言葉は、特にネット上では否定的な響きを伴って使われることが多いが、それは「最終学歴の偏差値を不当に上げる偽りの学力」と見なす風潮があるからに他ならない。これは、その大学院が設置されている大学の偏差値にだけ目を向ければ、そうなのかもしれない。

しかし、そのような見方は実は間違っている。そして、その間違った見方が日本社会全体を覆っていて、ネット内ばかりか一部の企業人までそのような間違った理解をしている印象がある。実に憂慮すべき事態だと言えよう。上に引用した記事にも「学歴ロンダして東大修士になったから30歳で年収1000万はかたい」という学生の声が紹介されているが、この発言の根本には、日本社会における学歴ロンダの未熟な理解がある。これについては記事内で詳しく述べるつもりであるが、いずれにしてもこれから学歴ロンダをしようと考えている人は、そのような間違った見方は禁物である。

経験談

私は学部から院までずっと、MARCHレベルの大学(院)に9年間所属していた。正直、そんな大学からよく大学専任になれたものだと自分でも驚くが、これは逆に旧帝大院卒じゃなくともアカポスを手に入れられることの証であるとも言えよう。『1:応募書類編』『4:論文の書き方編』で述べたように、良き師に出会えたことが幸運だった。

しかし、実は旧帝大院を考えていなかったわけではない。いや、考えていなかっただけではなく、受験もしている。院に進学するなら少しでも箔をつけたいと考え、旧帝大院の超有名教授の研究室に入りたいと思い、院試を受けたのである。

結果は不合格であった。思い当たる理由は記事の中で述べるが、いま専任として院生を受け入れる側になってはじめてわかったこともいくつかある。一言で言うなら、正しくない学歴ロンダの仕方だったのである。大学院の選び方や、院試の受け方など、すべてを誤解していた。もちろん、Sランク院に進学すれば輝かしい未来があるという、間違った見方に基づいていたことは間違いない。

この記事を必要とする人へ

この記事は、どうすれば正しく学歴ロンダをすることができるか、を解説するものである。間違った学歴ロンダ観を正し、そのうえで、学歴ロンダをする際に必要な準備などを説明する。大学院進学を目指す学部生、D進学を視野に入れているM生を主な対象としている。

内容は以下である。

1:学歴ロンダの誤解

2:タイプ別学歴ロンダの仕方

3:学歴ロンダの落とし穴

4:まとめ

特に2について、とりあえず旧帝大院に行ければよい場合、などとタイプを分類して書いた。学歴ロンダをして大企業に就職したい場合についても3通りの方法を提示して詳しくまとめてある。もちろん、研究職を目指す場合についても書いてある。自分の失敗談を踏まえ、それを逆転したことにも触れた。また3では、自分が見てきた実例を参考にしている。

情報量は約11,000字である。執筆にかなり時間がかかったが、大学公募にも大学受験にも直接関わるテーマではないので、金額はかなり安めに設定した。この記事は、多くの人に大学院に進学してもらいたいという気持ちから書いたものなので、ぜひ多くの人に読んでもらいたい。

それでは早速すすめていこう。

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