天疱瘡という難病の体験記_第6話 入院のまとめ

ようやく退院が明日に決まり、この入院期間の体験をまとめています。この20日とても長く、色々な気づきがありました。
特に、入院期間中の心理的変化は大きかったです。
誰にも起きてほしくないですが、もしこれから何かを理由に入院するようなことがあれば、もしかしたらこれが参考になるかもしれません。

基礎情報


  • 年齢:42歳

  • 診断名:落葉状天疱瘡
    検体採取日7/10 デスモグレイン1抗体:198
    検体採取日7/10 デスモグレイン3抗体:3.0未満

  • 症状
    全身の紅斑、びらん(最も重度は前額部)

  • 入院予定:7/21~8/20(1ヶ月)

  • 入院期間:7/21~8/10(20日)

  • 治療内容:ステロイド内服
    7/21~8/3:プレドニン35mg(0.5mg/kg)
    8/4~8/10:プレドニン30mg
    8/11〜 :プレドニン25mg(予定)

  • 入院中のスケジュール
    6:00   起床
    8:00   朝食
    10:00 バイタル測定(血圧、体温、Spo2)
    12:00 昼食
    17:00 バイタル測定(血圧、体温、Spo2)
    18:00 夕食
    21:00 就寝
    ※上記以外はフリー、徒歩200mほどのローソンまで外出OK
    ※ステロイドによる不眠症状あり1:00~3:00頃が眠れませんでした。

入院中の心理的変化

1週目

とにかく情報収集に勤しんだ時期でした。自分の病気のこと、病気以外で入院によって生じるリスク、今後の経過、ステロイドの副作用、他の当事者の情報や難病の医療福祉制度について、多くのことを調べ自分の状況の理解に努めました。
それをもとに、noteを書き言語化、可視化を進めていきました。

2週目

以前に記載したように、焦燥感と罪悪感に苛まれる時期でした。入院期間中最も苦しかったです。それまでの血圧は120前後だったのが、この時期は140前後に上昇していました。ストレスで血圧があることを体感しました。
そこから、セルフコントロールを意識していくと血圧が下降し、心理状態も安定していきました。特に、入院10日目からノートに日記のようなものを書くようにしました。PCやスマホと違い、アナログなので落ち着いて記載できるのがとても良かったです。

3週目

これまでの自身の人生と今回の難病の発症や入院という体験をもとに、気になることを洗い出していきました。出来るかどうかは全く分からないですが、まずは知ることから始めたいと思い、色々な方に相談をしました(現在進行形)。もしかしたら、これを今ご覧頂いているあなたにもご相談させて頂くかも知れません。その際はどうぞ宜しくお願い致します。

入院経験からの気づき

あくまで、私の疾患、重症度を基にした内容ですので、全ての人に当てはまるわけではございませんのでご注意下さい。

  • 難病に関する医療制度の対応は迅速
    入院が決まった7/18に限度額適用申請の手続きを実施(実際の入院は7/21)
    また指定難病の医療費助成制度は7/18に電話で説明あり、入院前に必要書類の手配が可能となありました。

  • 個別性の高いケアはありませでした。
    体重測定は患者自身で行い病棟での実施は0回。
    栄養について患者からカロリー向上を打診。それでも体重の低下があり、補食の提案を行いOKとなりました。
    ※いずれも患者から行わないと栄養状態の悪化が進む状況でした

  • 社会的医原病、文化的医原病、生活不活発病、廃用症候群のケアはありませんでした。
    入院2週目に採血を実施、週1回の血糖測定、そしてバイタル測定以外の測定項目はありませんでした。
    病院/医療という正義が患者に及ぼす侵害性、侵襲性はとても大きかったです。

  • SDMは患者主導で少し進んだのか?
    今回、予定より1週間〜10日ほど早い退院となった。それは、患者自ら医師へ自身の病状と治療の経過をもとに提案したからでした。

  • 看護師は年齢が上がるほどタメ口になる
    若い看護師ほど、コミュニケーションが丁寧で良い距離感でのケアでした。

入院に際してあると良いもの

  • 電気ポッド

  • コップ

  • 着替え(大変でなければ自分の服の方が良い)

  • 好きなもの

  • S字フック

  • ハンガー

  • おやつ(食事制限の範囲内で)

  • 飲み物(食事制限の範囲内で)

  • 充電器

  • 石鹸(これが肌に超優しい)

入院に対する心構え

基本的には自身の病気や病状、治療方針について自己理解することが極めて重要です。どこから手をつけて良いかわからない時は、下記2つを参考にしてみると良いと思います。ぜひ、プリントアウトして持っていきましょう。

病気の診療ガイドライン(天疱瘡はこちら

病気の治療のガイドラインを探してみましょう。天疱瘡は上記の通りです。全てを理解するのは難しいですが、診断のポイントや治療の方向性、病状の経過の見方など記載されています。それを見ながら、自分の状況を客観的に知ることで、治療の方向性が見えてきます。ぜひ、これをもとに医師とコミュニケーション取るのをオススメします。とても良いコミュニケーションに繋がりました。

医療者とのコミュニケーションのとり方(もしくはこちら

ヘルスリテラシーの専門家である聖路加国際大学の中山和宏先生のサイトです。良い医療を受けるには患者の能動的な働きかけや姿勢がとても大事です。その際の、医療者への具体的な質問項目について分かりやすく書かれています。とても実用的なので、ぜひご覧下さい。

終わりに

医療従事者として難病の方に関わるのと、自身が難病当事者となるのでは全く立場が変わるということを経験しました。それと同時に、新たな可能性も少し感じることが出来ました。

この先、順調に進めばステロイドを減薬していきます。理想は、ステロイドを完全に離脱することですが、もしかすると再燃するかもしれません。それを思うと、非常に不安であり、この先の社会生活が怖くなることもあります。そうなるかもしれないですが、上手に付き合っていきながら、「イマここにある」モノやコトを大切にしていきたいと思います。

それと共に、同じような難病当事者の方が、どのように治療と仕事を両立しているのかを調べていこうと考えています。これをご覧になった方で、当事者の方がいらっしゃいましたら、ぜひお話をお聞かせ頂けると嬉しいです。

この天疱瘡の体験記は、一旦この記事で終了を予定しています。
もし、気になる方は下記から過去の記事をご覧頂ければ、入院前の状況から知ることができると思います。

最後までご覧頂き有難うございました。


スペシャルサンクス

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美味しいコーヒーを有難うございます。

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信頼できる人による信頼できる石鹸有難うございます。

みんなの健康らぼ_坪谷さん
入院期間中、様々な情報や知見について教えて頂き有難うございました。
おかげで、自分の立ち位置や経過について客観的に捉えられるようになり不安が減りました。

ここには書き切れない、沢山の方にメッセージやサポート頂きました。
人は一人では生きていけない。と同時に一人ではないとうことを感じる入院でした。皆さんのおかげで今があります。本当に有難うございました。
この場をお借りして心より御礼申し上げます。

サポート有難うございます。難病の治療や入院費に当てさせて頂きます。勇気頂き感謝です🙇‍♂️