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朝からロック/後藤正文

アジカンのボーカル・ゴッチの朝日新聞連載を書籍化したもの。

短文がたくさん載っている形なのでサラッと読める。
私は何日間にも分けて少しずつ読み進めていった。

 
日常的な出来事について感じたことを書く時もあるが、戦争・コロナ・災害・政治や政策といったテーマにも向き合い、書く時も多い。

ゴッチは前々から平和の大切さについて真っ正面から言語化してきた人だ。

 
まえがきに「朝からロックなんてしなくていい。」と書いているが
人が話題にしにくいことにも言及し、行動しているゴッチは挑戦者であり
その姿勢はやはりロックなのかもしれない。

 
有名人が世間の大きなニュースに面と向かって切り込んでいくことはリスクが高く、炎上しかねないし
実際ゴッチの言動も場合によっては賛否両論な時もあるが
ゴッチは逃げずに戦っている印象がある。

 
被災地に実際に赴き、支援したり、活動して物事に触れたり
海外に行き、現地の人と話し、新たな面を知り、吸収する様が伝わる。

無知の知。
ゴッチの文章からはそんな印象を受ける。

 
どんな人もどんな暮らしも自分とは無関係のものではなく、繋がっていて
自分は社会の一員として何ができるか。
そんな模索をしながら、行動している。
様々な場所に行き、本を含め作品にもよく触れて、考えを深めている。

 
読んでいてその姿勢に感銘を受ける。
誰かや何かを悪にするのでもなく、まして正義にもせず、まず背景を知り、その上で自分はどう思い、どう行動するか。

それは決して容易くはない道だ。

 
言葉と責任の重みを感じる。
新聞の連載でニュースや事件に触れて思いを述べるまでに、どれぐらいの時間を費やし、神経を研ぎ澄ませているのだろうか。

 
綺麗事や正論で話を片付けず、話題にしない形で逃げもせず、発信を続けるゴッチは
やはりかっこいいと思った。

 
何かを決めつけてはいないか。
私の常識やイメージは無知から来てはいないか。
自分には今何ができるか。

読んでいるとそんなメッセージをヒシヒシと受ける。
背筋を伸ばしてシャンと生きる大人でありたいと思いしらされる。

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