大工になった話

●はじめに

 こんにちは。だいきです。2021年7月9日付けで空間デザインの会社を退職致しました。僕が前職でやっていたのは商空間の内装設計です。業務は毎日得られるものがあり、楽しい内容のものばかりでしたが、前回の記事(https://note.com/daiki199577/n/nf3594ff5cb46)に記載してあるように、社長が強制残業マンであることと、徹夜や休日出勤が頻繁にあるのに残業手当が一切出ないこと、お局が気持ち悪すぎたことにより、仕方なく退職致しました。

●どのように就職先を探したのか

 激務であったため、内定先を決めてからの退職という動きができませんでした。その為、次の就職先は退職してから探すことになります。「次は何をしようかな…」と考えていたものの、月に80時間残業していたのが続いたりしたことなど、前職の労働環境があまりにも酷かったため、反動で残業という言葉には敏感になっていました。月30時間の残業ですら少ないと思えるようになってしまったことなど、人間の身体はブラックにも順応してしまう恐ろしさに身震いしました 。就職先を探す上で1番意識していたのはこれでした。

         見なし残業制の会社ではないこと


 僕の前職は見なし残業制の会社です。前述にあるように、前回の記事でも表記しましたが、見なし残業とは、月給に想定された残業時間分の残業代を含んでいる給与体系のことです。その為、月に想定された分の残業を強いてくる癖に超過分は一切支払わないというクソ制度です。本当は超過分の残業代は支払わないと違法になりますが、見なし残業にすれば杜撰な勤怠管理により、いくらでも残業をなかったことに出来ます。その為、超過分の支払いがなくても言い逃れができてしまう上に社員を酷使し放題という、会社にとって超有利な制度となっております。「超過分は支払いたくないからなるべく早く帰ってね!」という業務体系なら転職は考えなかったかもしれませんが、社長が想定時間分の残業を強いてくる残業マンなので(その癖僕が徹夜して作業を終わらせたとき、残業しろなど言ってないとかほざきだすので気持ち悪かった)、入社してから3ヶ月くらいでいつここから逃げ出すか考えていました。

 見なし残業制の会社を転職先の候補から除外していた理由は、前職ではこのようなことがあったためです。しかし、転職サイトを見ていると、転職サイトは見なし残業の企業が多いことに驚愕します。「うわ…、見なしばっかだな、、、ちゃんと残業代払ってないんだろうなあ…」と反射的に思ってしまう訳です。1度空間デザイン系の企業から声をかけて頂いたことがあるのですが、そこも見なし残業制なので、僕はちゃんと超過分の残業代は出るのか問い合わせたら

         「超過分の支払いはないです」

という返答がきたのは流石に腹抱えて笑いました。清々しいまでの求人詐欺です。本当に気持ち悪いです。

 昨年の2月に1度だけ近所のお店の施工管理に入っていたことがあったことを思い出しました。そのときに電気屋さんとクロス屋さんの相手をしていました。電気をどのように通し、LED内照式のカルシウムプラスチック文字がどのように光るのか、クロスは上手く貼れているか、など職人さんを相手にぎこちない会話であったものの施工管理を着々と進めていました。

「職人か…」

 このとき脳裏に職人の方々が思い浮かびました。現場の段取りが分かっているのは言うまでもなくカッコいいですが、日が暮れたら残業なんかせずさっさと帰ってしまうのが理想としていた仕事人のようで減り張りのある生き方が更にカッコいいと思いました。無駄な残業をもうしたくないと考えていた僕は職人となることを視野に入れました。

●面接

 なんと恥ずかしい話、電車を乗り間違えてしまい、面接の時間に遅れてしまいました。不採用も覚悟しました。しかし、自分が前職で内装設計をしたいたこと、パース屋となっていたこと、ソフトが使えるところに目を付けてくれたのか、無事採用されました。

 徹夜地獄だったことや、お局に無駄に噛み付かれてしまい業務に支障をきたしていたことなどを隠さずに全て話したら不採用どころか同情されてしまいました。徹夜の話をしたら採用担当の方が一瞬だけでしたが引いたのも覚えています。職人なので週6勤務も覚悟していましたが、週2で休ませられるから休みたいなら言ってねと教えてくれたので、「ここなら、頑張れるかな…」と思えました。入社初日は現場の見学に行き、そこでも先輩となる方に前職の話をしたら「そんなところ辞めて正解だよ、というかよくそこで1年以上続けていたね」と返答がありました。やはり前職は異常だったのかと痛感しました。ブラック企業から逃げ出せた人の話はTwitterや個人ブログでしか見たことがなかったので、前職在職時はこんなの都市伝説だろと思っていましたが、まさか自分が体験をするとは考えていませんでした。

●これからについて

 建築関連の職人は、基本的に外作業や、屋内とはいえ電気が通っていない場所での作業となるので、日が暮れたら帰るしかありません。職人が残業をしないのはその為です。職人として生きることよりも、残業をしないで済む生き方を考えた結果たまたま職人が当てはまっていたのでしょう。僕は残業をせずに一生もののスキルが欲しかったので迷った末に大工を選びましたが、他にも塗装職人やクロス職人や墨出し職人、フロア職人を考えていました。残業が嫌なら職人になることを選択肢に入れるというのはアリだと思います。

 週6勤務でも休憩時間が長かったり、作業進捗状況によっては15時16時、それどころか午前中に上がれることがあるので月の残業時間は週休2日に置き換えると10時間いくかどうか(下手したらそれより少ない可能性大)だったりするのも頑張れる理由になっています。

 大工なのに梁や桁が持ち上げられず、力仕事は苦手なのは致命的なので、くじけそうになることもありますが、誰も僕を責めることはしません。一緒に作業している別企業の鳶職人の方から「筋肉がなくても大工として生きることはできるよ」と教えて頂いたので、まずは修行の意味も込めて、物が持ち上げられない分は、様々な生き方を模索しながら、金物処理や道具の扱いや内装工事などの小技に特化した職人を目指そうと思います。

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