EP3  少年NとSK、そしてKW

僕は、オリエンテーションの後、少年Nに話しかけた。そして、それから関係を築くことに成功した。少年Nは山奥の中学校から来ていて、同じ中学の知り合いはいないらしい。僕と全く一緒な境遇だ。僕らの高校は市内にあるため、彼の地元からは相当離れている。彼は寮暮らしだ。

彼は話によると地元の中学になじめなかったらしく、この高校にわざわざ来たそうだ。そして、薬剤師になりたいから理数科に入ったと言っていた。背丈が小さく、目がクリクリとしていて可愛い顔をしているのに志はしっかりしているのだな。医療関係に努められれば良いななんて漠然とした志しかなかった僕はこの少年Nの志をただ尊敬するばかりであった。

彼のほかにも、一つ前の席だったSKとも話すようになった。SKは自転車で通えるが市内から少し外れた中学校出身でこの中学校から来ているのは、女子のYさんとSKとKWの3人だった。SKとKWは親友だったので、SKと話しているともれなくKWとも話せるようになった。そして、やがて僕と少年NとSKとKWの4人がグループで話すようになった。

このクラスの最大派閥は高校から最も近いF中から来ている人々だった。クラス40人の半分より少し多くを占める人数だ。その人たちはクラス結成時からグループとなっており、知っている人通しのため自然と声が大きい。まさに、マジョリティーだ。

そんなクラスの情勢で、知り合いもほとんどなく入ってきた僕たち4人はマイノリティーで、一刻も早くグループが作りたいという利害が一致したのだと思う。自然と4人はグループになっていったのだ。

4月の半ばにある遠足まではこのグループで昼休みや、弁当の時間などを過ごしていた。4人とも、うわべだけの退屈さを覚えつつ、かといってマジョリティーに飛び込む勇気はなかったためこのグループで安住していた。というか、そうするしかなかったのだ。

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