コナン考察好きによるオススメ本

 「私」って本当にたった一人、唯一無二の存在を指す言葉なのか?
 「私」が揺らぐことはないのか? 他者が実は「私」だった、なんてことは起こりうるのか?

 そんな疑問を漠然と投げかけてくるシチュエーションの作品がとても好きだ。そんな僕好みの作品を独断と偏見でつらつら紹介したいと思う。
※何言ってんだ、こいつ? と思った方は、「江戸川コナンと工藤新一の二面性とか同一性を考えるのが好きなオタクによるオススメ作品」だと思ってください。

キノの旅
〜他人の名前を名乗る〜

 自分の名前が、もともとは自分のものではなく、他人から受け継いだ名前だとしたら、その名前は本当に「あなた」を指す名前なのだろうか?

 そんな疑問を投げかけてくる作品が一巻に収載されている。短編連作で読みやすく、どこからでも入りやすいシリーズだが、キノの根源に関わる作品がぎゅっと凝縮された一巻だけは是非、飛ばさずに読んでほしい。

 ちなみに……似たような「名前」をテーマにした作品だと、「殺し愛」もオススメだ。

初恋ゾンビ
〜理想と現実の「私」が出会う〜

 「現実の私」の目の前に「理想の私」が現れたら……?

 「現実の私」は「理想の私」そのものにはなれない。なのに理想に憧れてしまう。そんな矛盾を孕んだ私じゃない私が目の前に現れてしまう話。

 とにかく表紙詐欺っぷりがすごい作品。とりあえず、ラブコメのくせに中身が重すぎる(そこがいい)。先日、本誌連載は完結してしまいましたが、最近の少年サンデーの中でも特にイチオシです。

君を愛したひとりの僕へ
僕が愛したすべての君へ
〜並行世界の「私」は私なのか〜

 続いては、並行世界モノのSFだ。
 並行世界モノの漫画なら「ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-」をオススメするところだが、王道すぎるので、ここでは小説を紹介する。

 二冊とも同じ世界観だが、別々の並行世界を生きる主人公の話だ。この並行世界の主人公同士は面識がなく、意識を共有することもないし、人生の転換点で決定的に違う選択をする。しかし、それぞれの並行世界を生きる彼らは、やはり一人の人間だと感じてしまう。
 もしあのとき、あの選択をしたら……なんてIFの「私」が無数に存在する世界でどこまでが共通の私で、どこからが独立した唯一無二の私なのか思いを巡らせながら読むと楽しい。

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