積読=僕だけのセレクトショップ
まだ積読している本が自宅にあるのに本を買ってしまう……。
本好きの宿命というか、分かっているのに、本屋に寄るたび、新たな積読をこさえてしまう。本を読まない人からしたら、読むかも分からない本にお金を払って、本棚に押し込まれていく本は無駄以外の何者でもないかもしれない。
しかし、積読は本屋に住み込むことができない本好きにとっては貴重な『場所』だと思う。
積読でぎゅうぎゅうになった本棚には、僕自身が読みたいと思ってセレクトした本しか並んでいない。僕の琴線に触れるという、第一関門を突破した精鋭たち(精鋭本)しか本棚のスペースを与えてもらえない。
つまり、僕の本棚にある積読は、僕だけのための究極のセレクトショップだ。しかも、ショップなのに、積読を本棚から抜き出して読み始めても料金は発生しない。なんて太っ腹なショップだ!
週末の深夜、寝支度を整えた時になんとなしに積読の棚を眺める。
ああ、孤独な人間が他者のぬくもりを感じて幸せを噛みしめるような作品が読みたい、と不意に思う。
すると、どうだ。僕だけのセレクトショップの本棚には小川洋子が三冊も並んでいる。恩田陸も彩瀬まるも置いてある。
時計をよく見て欲しい。深夜一時過ぎ。こんな金曜日の真夜中まで、僕の読書欲に答えてくれるセレクトショップなんて、きっとこの世でここだけにしかないはずだ……!
そんなわけで、今日も今日とて、究極のセレクトショップで手に入れた本を貪り読む週末を過ごします。
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