短編集【タイトル:花火】
花火が打ちあがる。
儚く大きい花火はキレイで一瞬にして消えた。
あふれる人達はカメラ片手に写真を撮りワイワイしている。
私はそれを横目に通り過ぎる。
今日みたいな日はまた思い出してしまう・・・。
二人で花火を見に行った日、
あなたは夢中で花火を見上げていた。
私はそれを横目に君の顔を見ていた。
花火は私たちを照らしてくれた。
なぜ私はここに来てしまったのだろう。
なぜ私はあの夏の日を思い出そうとしているのだろう。
少し歩き疲れた私たちは階段に腰かけた。
あと少しで夏が終わってしまう寂しさに切なくなった。
階段から見える花火を見ながら
あなたは、
「好きだよ」
って言ってくれた。
私は返事を返しキスをした。
花火は大きく花開き私たちを照らしてくれた。
私は忘れようとしたけど駄目だった。
あなたに出会わなければよかった。
こんな気持ち知らなきゃよかった。
あなたの声が好きだった。
あなたの瞳が好きだった。
まだあなたの温もりを探している。
一人きりで見上げる花火に
涙があふれだした。
今でも思い出してしまう
忘れられないあの花火を。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?