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ChatGPTとカスタマージャーニーマップのたたきを作ってみた話

ChatGPTを使ってカスタマージャーニーマップのたたきを作るプロンプトの紹介記事です。

カスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーマップはペルソナがある一連の体験をするまでに行う行動や思考、感情などを体験の時系列フローに沿ってまとめるフレームワークです。

カスタマージャーニーマップ

要素としては横に体験のフェーズを時系列に沿って並べます
フェーズは実際にわかっているものがあればそちらのフローを並べてもOKですし、AIDMAやAISASのような認知〜行動、共有までのフレームワークもあるのでそちらを当てはめても問題ありません。

縦軸はペルソナがそのフェーズでとりうる行動や思考などの要素を入れます。よくみられるものとしては

  • 行動:ペルソナがそのフェーズで行う行動

  • 思考:ペルソナがそのフェーズで考えていること

  • チャネル・ツール:ペルソナがそのフェーズで使っているサービスやツール、流入する際のチャネル

  • 課題・ニーズ:そのフェーズで見えてくる課題やペルソナが持つニーズ

  • 感情パラメータ:そのときのペルソナの体験に対しての感情の浮き沈み

などが挙げられますが、正直固定なものはないので目的に合わせてカスタマイズしても問題ないと思います。

なぜカスタマージャーニマップを作るのか?

こちらは以前の共感マップと共通するメリットがあります。

カスタマージャーニーマップを作る理由

サービスを提供する場合、多くは価値を届けるペルソナがいます。
よりペルソナのニーズに刺さる価値を提供するにはペルソナがどんな価値観を持ち、考え、行動に移しているのか、あるいはどんな影響を周りから受けているのかを深掘る必要があります。

カスタマージャーニーマップも共感マップと同様にそのペルソナを深掘り、理解するための整理として便利です。

そして、顧客視点をビジネスの中心に据えている場合、意思決定の判断軸にはペルソナにどんな価値が届き、それに対してどう反応するのかは考慮する必要があります。

その際にペルソナ像がメンバーによってバラバラだと結局何が良いのかがバラつき判断がしづらかったり、デザインなどを依頼する際に要件が定まらなかったりしがちです(実際要件ガバガバの依頼を頂いたときは結構困った経験をしました)。

こういった認識のバラつきを少なくすることにも使えるのでオススメです。

そして、共感マップと違いカスタマージャーニーマップの最大の特徴は体験を通したペルソナの行動や思考、感情が整理できることです。

サービスを使うときはその前後も含めて行動のつながりがあります。

例えば、電子決済アプリを使う際にも、そのアプリの存在に気づき、インストールし、実際買い物でスマホを取り出してアプリを起動し、バーコードを読み取る。使い勝手がいいなら知人にも進めるなどサービスを利用する行動の周りにはさまざまな行動が付随しています。

こういったペルソナの一連の体験を追うことでどのようにプロモーションするかやUXを改善してより使ってもらえるようにするかの気づきにもつながるためカスタマージャーニーマップを作成することはオススメしています。

ChatGPTとカスタマージャーニーマップを一緒に作る

本来はユーザーインタビューをちゃんと行ってからカスタマージャーニーマップを作成するのがセオリーです。

ただ、カスタマージャーニーマップを作るためのインタビューの質問内容を設計する際に、どんな問いかけをするのかを考えるベースとなるものがあった方が考えやすいこともあります。

また先んじて土台を作っておくことで実際の行動との違いにも気づきやすくなるため、ChatGPTと共に土台となるカスタマージャーニーマップを作成してみます。

どの段階で使うか

ペルソナを設定する(人の手で設定する)

まず、仮想のペルソナを作ります。
ここの部分をChatGPTで作ってみてもいいのですが、やはりインタビューに取り組むフェーズになるとある程度ペルソナ像が既にあり、ChatGPTからズレた回答をもらってプロンプトを修正する手間を考えるとペルソナは人が設定した方がいいかなと考えます。

今回は本ブログの仮想ペルソナを立ててみました。

簡易ペルソナ

プロンプト for カスタマージャーニーマップ

さて、仮想ペルソナを元にカスタマージャーニーマップを作成してみましょう。
プロンプトの雛形はこちらです。

#役割
あなたはUXデザイナーです。
今回、カスタマージャーニーマップを作成することを支援します。

#インプット
--ペルソナ情報
-属性情報
[ここに情報を入力する]
-ペルソナの抱える悩み
・[ここに情報を入力する]
-現時点での悩みに対しての解決策
・[ここに情報を入力する]

--利用するサービス情報
-タッチポイント・流入経路
[ここに情報を入力する]
-提供価値
[ここに情報を入力する]
-想定するサービスの使い方
[ここに情報を入力する]
-価格
[ここに情報を入力する]
-プロモーション
[ここに情報を入力する]

--カスタマージャーニーマップ
-フェーズ(以下を必要に合わせてカスタマイズしてください)
・Attention(認知・注意):ペルソナがサービスを認識する段階。
ユーザーがサービスを認知する。認知方法は雑誌、テレビ、YouTube広告、SNSなど多岐にわたるので最もペルソナがタッチする可能性が高いチャネルを選択する
どのような経緯でそれに気づくかのストーリーが重要であるのでアウトプットに入れる
・Interest(興味・関心):ペルソナがサービスに興味関心を持つ段階。
ペルソナがサービスを認知し、能動的に情報を得ようとする。
なぜ興味を持ったのかが重要であるのでアウトプットに入れる
・Search(検索):ペルソナがサービスについての情報を検索する段階。
ペルソナがより詳しい情報を得るためにインターネットでサービスに関する情報を検索します。
どんな検索キーワードで調べたのかが重要であるのでアウトプットに入れる
・Comparison(比較):ペルソナがサービスの比較をおこなう段階。
ペルソナが得た情報から、商品の比較を行います。公式サイトのほか、レビューや口コミを参考にしてサービス同士の価格・機能・利便性などを比較します。どの情報を重視するかはペルソナ情報を元に可能性の高いものを選択してください。
何を重視して比較しているのかが重要であるのでアウトプットに入れる
・Examination(検討):ペルソナがサービスを利用するか検討する段階。
ペルソナは得た情報を元に、実際にサービスを利用するかどうかを検討します。
何を重視して比較しているのかが重要であるのでアウトプットに入れる
・Action(行動):ペルソナがサービスを利用する段階。
ペルソナが実際にサービスを利用し、ニーズを満たす行動をします。利用時にペルソナがどんな行動をするか、どんな思考をするのかが重要であるのでアウトプットに入れる
・Share(共有):ペルソナが体験を共有する段階。
サービスを利用した結果ペルソナの満足度が高い場合にその体験をブログやSNS、口コミサイト、知人との会話などで共有します。どんなふうに共有するかはペルソナの情報を元に可能性が高いものを選択します。どんな言葉で共有するのかが重要であるのでアウトプットに入れる

-行動
{-フェーズ}の各段階でペルソナが実施する行動
-思考
{-フェーズ}の各段階でペルソナが考えていること、感想などの思考
-チャネル
{-フェーズ}の各段階でペルソナが利用している流入経路や他サービス
-感情パラメータ
{-フェーズ}の各段階でのペルソナの感情の状態、5段階で5の方が気持ちが高揚しており、1に近い方が気持ちが沈み込んでいる。3が平均となる。
-インサイト
{-フェーズ}の各段階でのペルソナの行動、思考、感情パラメータを元にペルソナがどうしてその行動、思考、感情に至るのかの理由や発生しうるサービスの課題点、追加で提供できる価値などのポイントがあれば記載

#命令
{#インプット}の{--ペルソナ情報}のペルソナの{--利用するサービス情報}を満たすサービスを使うときのカスタマージャーニーマップを作成してください。
フェーズに関しては{-フェーズ}の要素を参照し、必要なフェーズのみを選択してください。必ずしも全てのフェーズを経る必要はありません。

#アウトプット
3つ違うパターンで
フェーズ|行動|思考|チャネル|感情ポイント|インサイトのカラム順でカスタマージャーニーの表を作成してください。

冒頭紹介した要素を{--カスタマージャーニーマップ}のパラメーターに入れています。

また、フローのフレームワークとして"AISCEAS"を使っています。
認知〜共有までの行動のフレームワークとして有名であるAIDMAやAISASの変形版となるフレームワークですがこちらはまた別の記事で紹介しようと思います。

{--ペルソナ情報}に先程作成した仮想ペルソナの情報を入力し、ペルソナに使ってもらうサービスの概要を{--利用するサービス情報}に入力していきます。
実際に入力してみたプロンプト例がこちらです。

#役割
あなたはUXデザイナーです。
今回、カスタマージャーニーマップを作成することを支援します。

#インプット
--ペルソナ情報
-属性情報
年齢:29歳
性別:男性
業界:IT業界
職種:事業企画職
ワークスタイル:
平日5日勤務、休日1日副業
週3出勤、2日リモートワーク
年収:600万円台
性格タイプ(MBTI):ESTJ
趣味:ゴルフ、漫画、旅行
-ペルソナの抱える企画の調査や分析、アイデアだしに関する悩み
・企画職として長年働いており、企画を作る際に必要な調査や分析の流れは把握できている。
・ただ、毎回アイデアを自分の頭で1から考えるのにも疲れを感じていたり、複数のプロジェクトにアサインされていることからもっと効率的に行いたいと感じ始めている。
・周りに企画の壁打ち相手が少なく、たまに視点が抜けていないか不安になる。
・ChatGPTなどに試しに投げてみたがどの様に質問すると思うようなアウトプットが出るのかを考えるのが時間がかかって効率的でないと感じた。
-現時点での悩みに対しての解決策
・プロジェクトが終了したら調査や分析などを振り返り、体系化してメモをのこして次に使える様にしている
・企画やマーケのニュースや書籍をインプットして、使えるものは試し、効率化や深い洞察を得れたものは使い方を体系化してメモに残す
・メンバーの時間をおさえてアイデアに対してのFBをもらう

--利用するサービス情報
-タッチポイント・流入経路
Webでの自然検索、noteでの検索
-提供価値
企画やマーケに有用なChatGPTのプロンプトの使い方とプロンプトの雛形をコピペでき、ChatGPTプロンプトを考えるめんどくささを解消する
-想定するサービスの使い方
ブログ記事を読み、プロンプトをコピペしてアイデアのたたきを作り、そこからみづからの手でブラッシュアップしてもらう
-価格
無料
-プロモーション
行っていない

--カスタマージャーニーマップ
-フェーズ(以下をカスタマイズ)
・Attention(認知・注意):ペルソナがサービスを認識する段階。
ユーザーがサービスを認知する。認知方法は雑誌、テレビ、YouTube広告、SNSなど多岐にわたるので最もペルソナがタッチする可能性が高いチャネルを選択する
どのような経緯でそれに気づくかのストーリーが重要であるのでアウトプットに入れる
・Interest(興味・関心):ペルソナがサービスに興味関心を持つ段階。
ペルソナがサービスを認知し、能動的に情報を得ようとする。
なぜ興味を持ったのかが重要であるのでアウトプットに入れる
・Search(検索):ペルソナがサービスについての情報を検索する段階。
ペルソナがより詳しい情報を得るためにインターネットでサービスに関する情報を検索します。
どんな検索キーワードで調べたのかが重要であるのでアウトプットに入れる
・Comparison(比較):ペルソナがサービスの比較をおこなう段階。
ペルソナが得た情報から、商品の比較を行います。公式サイトのほか、レビューや口コミを参考にしてサービス同士の価格・機能・利便性などを比較します。どの情報を重視するかはペルソナ情報を元に可能性の高いものを選択してください。
何を重視して比較しているのかが重要であるのでアウトプットに入れる
・Examination(検討):ペルソナがサービスを利用するか検討する段階。
ペルソナは得た情報を元に、実際にサービスを利用するかどうかを検討します。
何を重視して比較しているのかが重要であるのでアウトプットに入れる
・Action(行動):ペルソナがサービスを利用する段階。
ペルソナが実際にサービスを利用し、ニーズを満たす行動をします。利用時にペルソナがどんな行動をするか、どんな思考をするのかが重要であるのでアウトプットに入れる
・Share(共有):ペルソナが体験を共有する段階。
サービスを利用した結果ペルソナの満足度が高い場合にその体験をブログやSNS、口コミサイト、知人との会話などで共有します。どんなふうに共有するかはペルソナの情報を元に可能性が高いものを選択します。どんな言葉で共有するのかが重要であるのでアウトプットに入れる
-行動
{-フェーズ}の各段階でペルソナが実施する行動
-思考
{-フェーズ}の各段階でペルソナが考えていること、感想などの思考
-チャネル
{-フェーズ}の各段階でペルソナが利用している流入経路や他サービス
-感情パラメータ
{-フェーズ}の各段階でのペルソナの感情の状態、5段階で5の方が気持ちが高揚しており、1に近い方が気持ちが沈み込んでいる。3が平均となる。
-インサイト
{-フェーズ}の各段階でのペルソナの行動、思考、感情パラメータを元にペルソナがどうしてその行動、思考、感情に至るのかの理由や発生しうるサービスの課題点、追加で提供できる価値などのポイントがあれば記載

#命令
{#インプット}の{--ペルソナ情報}のペルソナの{--利用するサービス情報}を満たすサービスを使うときのカスタマージャーニーマップを作成してください。
フェーズに関しては{-フェーズ}の要素を参照し、必要なフェーズのみを選択してください。必ずしも全てのフェーズを経る必要はありません。

#アウトプット
3つ違うパターンで
フェーズ|行動|思考|チャネル|感情ポイント|インサイトのカラム順でカスタマージャーニーの表を作成してください。

それではこのプロンプトをChatGPTに入力して、結果を見てみましょう。

パターン1の結果
パターン2の結果
パターン3の結果

今回は個人でやるときのバイアスを減らしたい意図から3つカスタマージャーニーマップのたたきを出してもらうように指示を出しました。

3つを眺めてみると、noteからの流入であったり、自然検索、知人からの紹介といろんなパターンを提案してくれ、かつ、それぞれの体験も特段違和感がない気がしています。
あるとするなら、ポジティブすぎるくらいでしょうか。

ブラッシュアップ

さて、出てきたカスタマージャーニーマップをもとにブラッシュアップしてMiroで可視化・整理してみました。

ブラッシュアップしたカスタマージャーニーマップ

まとめ

今回はChatGPTと一緒にカスタマージャーニーマップを作成してみました。
やはり、ChatGPTでは一般的な回答になるのでそれだけでは使い物にはなりませんが、たたきを作ってもらい、それを土台にブラッシュアップすればこのレベルはすぐ作れました。

使ってみたい方は是非活用ください!
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