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デイアンドナイト 目的は悪を正当化出来るのか?善と悪の境目はどこにあるのか?

あらすじ

父が自殺し、実家へ帰った明石幸次(阿部進之介)。父は大手企業中町自動車のリコール隠しの不正を内部告発したことで死に追いやられ、工場の資金などの金銭面や街に村八分にされ家族もまた崩壊寸前であった。
そんな明石に児童養護施設「風車の家」のオーナーを務める男、北村(安藤政信)が手を差し伸べる。
孤児を父親同然に養う傍ら、「子供たちを生かすためなら犯罪をも厭わない。」という道徳観を持ち、街を汚すドラッグの密売人を制裁し、働き口が必要な移民を斡旋する正義と自動車窃盗などで荒稼ぎし児童養護施設を運営する資金にする犯罪を共存させる北村に魅せられていく明石と、そんな明石を案じる児童養護施設で生活する少女・奈々(清原果耶)。
しかし明石は次第に復讐心に駆られ、善悪の境を見失い仲間の力を借り、リコール隠しの証拠を隠していた自動車工場の元従業員川上から証拠を盗み出し地元紙に告発するなど、善悪の境を見失い暴走していく。
山田孝之がプロデュースと脚本で、企画と原案と主演を阿部進之介が務め、「新聞記者」の藤井道人が監督した問題作。

感想など

自動車部品交換を誤魔化しリコール隠しした請負い先の自動車企業を告発したことで、仕事がなくなることを恐れた従業員に証拠を隠されて、自動車企業で成り立つ街の人々に村八分にされ、自動車企業の広告費欲しさに告発をマスコミに見て見ぬふりをされ、自殺した幸次の父親。
児童養護施設や幸次の父親に世話になって、生い立ちから「子供を生かすために犯罪を厭わない」信念を持ち児童養護施設を守る北村。
北村に感化され、父親の復讐と児童養護施設を守るために、善悪の境を逸脱していく幸次。
家族に捨てられ、絵を描くことと北村や幸次を支えに生きる奈々。
家族を失った者、家族に捨てられた者たちが身も心も寄せ合う擬似家族的な絆、法律や社会が頼りにならず善悪の境を逸脱していかざるを得ない人々を通して描かれる日本社会の闇、多数の幸福のために少数の幸福が踏みにじられる日本社会の病、「誰かを守るためしたことが誰かを守るとは限らない」「人のためにした悪いことは正義か?」「善悪の境とは?」「家族とは?」観る人に突きつけられる重い問い掛け、阿部進之介や安藤政信や清原果耶の繊細な演技、「ダークナイト」「万引き家族」に匹敵する善悪の境を揺れ動く群像劇と擬似家族的な絆の家族ドラマがしっかり組み合わさった心揺さぶるヒューマンドラマ映画。
「善と悪はどこからやってくるのか」
U-NEXTとNetflixなどで、配信中。

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