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ヴィレッジ 産業廃棄物処理場と能と横浜流星

あらすじ

夜霧が幻想的な、とある日本の集落・霞門村(かもんむら)。神秘的な「薪能」の儀式が行われている近くの山には、巨大なゴミの最終処分場がそびえ立つ。
幼い頃より霞門村に住む片山優(横浜流星)は、かつて父親がこの村で起こした事件の汚名を背負い、村中から蔑まれ絶望の中を生きてきた。
霞門村の村長である父・修作(古田新太)の権力を傘にやりたい放題の透(一ノ瀬ワタル)に目の敵にされ、わずかな給料は母親の君枝(西田尚美)がギャンブルで作った多額の借金の返済に消えていく優に、人生の選択肢はなかった。
そんなある日、幼馴染の美咲(黒木華)が、東京から戻ってくる。
優と同じくゴミ処理施設で働きはじめた美咲は、事あるごとに優を気にかけ、絶望の中にいる優に優しく手を差し伸べる。
お互いに傷を抱えた優と美咲は、心の穴を埋め合うかのように、いつしか惹かれ合っていく……。
だが、美咲に横恋慕している透の魔の手が、美咲に近づいた時、運命の歯車が狂っていく。
お互いを「魂の兄弟」と信頼し合う藤井道人監督と横浜流星、6度目のタッグとなるヒューマンサスペンス映画。

感想など

大量消費社会の副産物である産業廃棄物処理場で、産業廃棄物処理場を建設し維持する為の国からの補助金で過疎地域が存続出来る一方で、埋め立てた産業廃棄物から出る廃液で環境は侵され、産業廃棄物処理場建設に反対した優の父は村八分にされ暴発してしまった。
村を産業廃棄物処理場建設や維持の為の補助金で、政治家と繋がり、産業廃棄物処理場の反対派や違法投棄だけでなく都合が悪いものを隠蔽し抹殺していく産業処理場の大橋一家の権力の闇。
そして家族の業に縛られている優と優により添う美咲が、お互いの幸せを守るために犯してしまった罪が、さらに罪を重ねる負の連鎖。
この映画で描かれているのは、日本社会の縮図と闇が描かれている。
ヒール悪役的な役柄に人間味を加えた古田新太や一ノ瀬ワタルの演技やこの映画の光の部分を担う黒木華の演技も良かったが、そんな閉鎖的な村に縛られている優の怒りや苦しみや優しさや保身や愛情を、丁寧に演じた横浜流星の入魂の熱演が光っていて、藤井道人監督が最高傑作を更新した尖りまくったヒューマンサスペンス映画。
amazarashiのコラボソングも、映画のテーマやストーリーを織り込み、尖りまくった名曲。
Netflixで、独占配信中。

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