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新規事業における採用失敗事例と対策

株式会社アクリオ 代表の植田です。

弊社では大手~ベンチャー企業まで幅広く新規事業の支援をしており、累計数十件の実績があります。

その経験を通じて、この記事では、新規事業における採用のよくある失敗をまとめています。


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新規事業で採用を失敗し、成果が出なかった場合に、

- その人の実力が足りないのか?
- ビジネスモデルが駄目なのか?
- その人が担当しているチャネル(ex.電話/リスティングなど)が駄目なのか?

など、何がボトルネックになっているのか判断が付きづらくなり、誤った意思決定に繋がってしまいます。

なので、事業的にも採用は最重要課題だと言えます。


これから社内の新規事業、スタートアップを立ち上げる方はぜひ参考にして頂ければ幸いです。

■新規事業の成功確率は”人”も影響している

そもそも新規事業の成功確率は30%程度というデータが出ていますが、個人的には人による影響がすごく大きいと感じています。

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参考:中小企業・小規模事業者䛾成長に向けた事業戦略 等に関する調査

多くの企業では、「このビジネスモデルが駄目だった」「新規事業の進め方が駄目だった」という話になりがちで、「この人を、このポジションにアサインすべきではなかった」という議論は少ないです。

恐らく人に対するフィードバックを公に行いづらいこともあり、それが理由で新規事業×人の失敗事例が情報として少なくなってるように感じます。

■新規事業における採用の失敗事例

特に多い3つのパターンを紹介します。

①職種軸のみで採用してしまう

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例えば新規事業でSaaSのビジネスを立ち上げるとします。

まずは契約を取れるか検証する必要があるので、新規営業の経験者を採用するとします。

そして、”大手webメディアの掲載課金型の広告で、新規営業をしている方”を採用したとします。

この時点で「その採用はリスクがあるかも」と感じた人は、この失敗事例には当てはまらないです。
逆にリスクの想定が見えない人は要注意です。

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そもそも、SaaSのビジネスモデルではLTV最大化させることが重要=解約率が何%に収まるのかが重要です。

なので、事業検証段階から「解約率が何%程度になるのか?」を見ながら進めることが多いです。


大手webメディア×掲載課金型の広告営業では、以下のような特徴があります。(※全ての事業/会社に当てはまる訳ではないです)

・市場シェア率の高い大手webメディアの営業なので、行動量を積めば契約が発生しやすい。
・契約時点で掲載料の費用をもらえるため、掲載後の集客数/集客品質まで見なくても営業マンとしての成果が出てしまう。

なので、SaaSの新規事業でその方をアサインした場合に、以下のような失敗に繋がりやすいです。

・顧客セグメントを意識せず、とにかく手当り次第の営業電話をかけてしまう。
・契約を強気に取ってしまい、解約率が高くなり、カスタマーサポートの部署が疲弊してしまう。
・本当は営業のコミュニケーションを改善し、解約率を減少すべきなのに、「解約率が高いビジネスモデルだから」という理由で撤退してしまう。

もちろん上記のような営業経験をされている方で、SaaSの新規事業にて高いパフォーマンスを残す方もいます。

なので、経験から生まれるリスクを認識し、面接時に深堀りした上で、採用&アサインすべきだと言えます。


これらを防ぐために、採用時には職種以外にも以下のような軸を見て、想定を立てておくべきです。

■関わっていた事業のビジネスモデル、プライシング
例)大手企業向けコンサルティング→1社のLTV最大化がゴールなので、安いFeeを大量の顧客からもらうビジネスモデルは苦戦するかも。
例)人材紹介の営業→無料で開始できるため、高額商材の販売では苦戦するかも。逆に無料商材はすぐにパフォーマンス出せる可能性あり。
■関わっていた事業のフェーズ(参入期,成長期,衰退期など)
例)参入期→カオスな状態に慣れているので、新規事業/スタートアップでもパフォーマンスする可能性が高い。
例)成長期→参入期~成長期にいたのであれば、新規事業が型化されて手離れ良く動き出すまで作り込める可能性あり。
例)衰退期→組織が疲弊し、雰囲気が暗い中でも前に進む強さを持っており、新規事業がコケそうな時に踏ん張れる可能性あり。
■持っていたKGI、KPI
例)電話架電数がKGIとなっていた→行動量を積めば結果が出るし、評価されると認識している可能性が高い。


②自分の仕事を定義できない人を採用してしまう

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既存事業にて成果を出している人を、新規事業にアサインすると、「何をすれば良いのか分からない」という失敗に繋がりやすいです。

既存事業では、決まった業務やタスクの中で、成果を最大化させることが求められます。

新規事業では、事業戦略や課題から、自分のすべきことを定義し、タスクに落としこむことが求められます。


特に中堅~大手企業で、社内からアサインする場合に「既存事業で成果を出しているメンバーを新規事業にアサインしないと、社内の見られ方的にマズイ」と仰る方がいますが、その分、新規事業の成功確率を毀損していることを認識すべきだと伝えています。

場合によっては、既存事業で中間ぐらいのパフォーマンスをしているが、事業としてやるべきことを認識し、自分の目の前の仕事に結びつけているような人を採用・アサインすべきです。

③新規事業×採用のボラティリティを認識していない

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採用は、感情と論理の2視点から捉えるべきだと考えています。

そもそも新規事業の成功確率は30%しかありません。

それほど難しい新規事業にて、パフォーマンスする人を採用できる確率は極めて低いことは周知の事実かと思います。


個人的には、新規事業に関わる人を10人採用したら、その中でパフォーマンスできる人は1~5人程度という感覚です。


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ここで重要なのは、パフォーマンスできる人の比率ではなく、激しいボラティリティが存在しているという事です。


新規事業は事業フェーズ、事業戦略によって求められる能力が激しく変化します。

例えば、元々は営業職の社内動画研修SaaSを販売していたが、建設業界の職人向けの方が刺さると分かった場合に、今までの営業・マーケティング手法が変わり、SaaSに必要な機能も変わります。


結果、今までパフォーマンス出来ていた人材要件が変化することに繋がります。


上記のように、「そもそも新規事業は変化する。パフォーマンスする人の要件も連動して変化する」と捉えた上で、今の事業でパフォーマンスするというより、事業変化に対応し、パフォーマンスする人を採用すべきです。


この数値感、ボラティリティを理解しないと、正社員雇用して、どんどん新規事業が進みづらくなり、撤退した時の解雇/配置換えリスクに追われることになります。

そのため、最初は業務委託や社内リソースで何とか対応し、事業検証が進んだ段階で適切な人材を採用することをオススメしています。


■まとめ

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採用に正解は無いですし、新規事業の採用となると、更に正解は企業によってバラバラかと思います。

なので、この記事を全て実行すべきとは言いませんが、少しでも参考になる部分があれば幸いです。

今後も新規事業に関わる情報発信を行っていくので、もしご興味あればnoteやTwitterのフォローをお願いします!

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