読書感想:エラスティックリーダーシップ:リーダーシップ論を自分自身に役立てる

アニメ Fate/Zero 第十一話 聖杯問答で騎士王が言われた台詞
『貴様は臣下を救うばかりで導くことをしなかった』
私はこのシーンがとても印象深く心に残りました。

この本を読んで久しぶりにこのシーンを思い出しました。

『エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方』

ソフトウェア開発チームのリーダーについて書かれた本ですが、チームを率いる立場の人、部活の部長とかスポーツチームの監督、あるいは家庭で子育て中の人、さらには自分自身をリードしてより良く変えていきたいと思う人にとっても多くの示唆が得られる本だと思います。

リーダーシップ論

この本は著者によるリーダーシップ論と、様々な寄稿者によるエッセイで構成されています。
それぞれのパートは全 270ページ中のほぼ半分ずつの分量となっていて、一冊で二冊分味わえるようなオトクな気分になれます。

まず前半のリーダーシップ論、マネジメント系の本となると進捗管理や品質管理の仕方などのハウツーを説いたものが多い印象ですが、この本はそういうハウツー物とは違います。
チームとはどういうものか、そこでチームリーダーはどう考えどう行動すべきか、どうしてはいけないかを、チームメンバー、つまり「人」に焦点を当てて説明していきます。

まずチームには 3つのモードがあり、どのモードではどういうリーダーシップを発揮すべきかが理由と共に説明されています。
経験に基づく実践的な話と納得のいく説明で、とても面白く読み進めていけます。
読む前はもっと理念的な話が多いのかなと思っていたのでちょっと意外というか嬉しい誤算でした。

エッセイ集

後半のエッセイ集も、これだけで一冊の本だったとしても十分満足できるほどとても面白かったです。

日本版ではこのエッセイ集が二部構成になっており、第一部が原著にある海外の寄稿者によるエッセイ、第二部は日本語版だけの特典、国内の寄稿者によるエッセイ集です。

国内の寄稿者は Ruby のまつもと ゆきひろさん始めそうそうたるメンバー。
それぞれ違ったテーマ、違った視点でバラエティに富んだエッセイ集になっています。

中でも私は永瀬美穂さんのエッセイ「チームに成長してもらうためのリーダーシップ」が特によかったです。


読んでそれで終わりではもったいない

本書冒頭に『専門家はいない、私たちしかいないんだ』という言葉が出てきます。
まずこの言葉にズキューンと来て、『バス係数 = チームメンバーの何人がバスに轢かれたらプロジェクトが破綻するかを表す係数』にニヤリとし、そんな調子でどんどん惹き込まれて読んでしまいました。

とてもために為る良い本だったと思います。
読んで良かった…

しかし!読んでそれで終わっては意味が無い。
この本は実践に活かせることが沢山書いてあります。活かさなきゃもったいない!

チームリーダーはもちろん、そうじゃなくても、果てはチームメンバーでさえなかったとしても、少なくとも自分は自分自身のリーダーです。(エッセイ集の受け売り)
誰でも活かすことができるということですね!
私もまずは私自身が私のリーダーとなって、自分をより良いモードへと導いていきたいと思います。

『古の道を聞きても唱へても わが行いに せずば甲斐なし』
昔からの教えを聞いたり口で唱えたりするだけで自分の行いに活かさないのでは意味がない。
- 日新公いろは歌より



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