濱口竜介『PASSION』
2008年発表。東京藝大映像研究科修了作品の長篇 。
結婚を控えたカップル(智也と果歩)を中心として、同世代の男女六人の恋愛感情のもつれを描いた群像劇。実質的なデビュー作でありながら、今後の濱口作品の主題(暴力と愛情の境界,「私ではないあなたを私はいかに理解しうるか」という問い)が提示されている。人間はどこまで他者と接近しうるのか、人を愛する/人に愛されるということはある意味で暴力ではないのか。それらの問いへの答えを模索するように、六人の男女は接近と離反を繰り返す。
静止