こきあのこ

3,4年ほど前から障がい者支援の仕事に携わっています。1人1人、個性の違う利用者さんと…

こきあのこ

3,4年ほど前から障がい者支援の仕事に携わっています。1人1人、個性の違う利用者さんと向き合う楽しさ(いつも試行錯誤です)が仕事の支えになっています。 日々の気付きやショートストーリーなどを呟きます。

最近の記事

会いたい

月明かり ひとつに重なる 影法師 雨の中 大きな傘が サヨナラしてる 君の背の 大きさ思わず 抱きしめた

    • 就活

      眠れないのを 冷蔵庫の 音のせいにして 今日のお昼は 紙っぺらのような 握り寿司 職探し 靴底とSuicaの残も 減ってゆく

      • 有効期限

        若かった頃の 君と過ごした記憶の有効期限が そろそろ切れそうです 君と別れてから 君と過ごした日々の記憶だけで 何とか騙し騙し ここまでやってきたけれど もうそろそろ その有効期限が切れそうです 恋しくて 自暴自棄になりそうな時も 記憶の中にある 君の笑顔を 笑い声を 横顔を 頬に触れた君の指先を 抱きしめてくれた時の 私の顎が丁度いい具合に乗っかる 君の肩を思い出しては 何とか誤魔化し誤魔化し やり過ごしてきたけれど もう そろそろ記憶の中の君とも 本当にさよならを

        • ファンレター

          激しい雨がフロントガラスに 打ち付ける中を 西へ西へと車を走らせる そうだよ 君に逢う為に 去年約束したろ 来年もツアー会場に行くからと 出待ちをしていた君が くしゃくしゃになった紙切れを 僕の手に渡してくれた ファンレター あれからずっと ポッケに入れたままだよ 『居場所が、無かったんだ  家にも学校にも  そんな時、  アナタの音楽に  出逢いました  僕の事  アナタがいちばん  分かってくれました  もう、  ひとりじゃないんだよって  教えてくれたから  だ

          指先が奏でる詩たち 唇の上で踊る詩たち 詩が どこの国の詩であっても 恋びとに 愛をささやく時 友と志しを語り合う時 幼子を夢に誘う 子守唄を唄う時 亡くした家族や友 恋人を想う時 己の無力さに嘆く時 明日の世を愁う時 詩が どこの国の詩であっても 文明の波に乗って 国境を越えて あの人の住む街に 届くだろうか 詩が どこの国の詩であっても

          ザワザワが消えない

          年明け早々 能登半島でまたも地震が起きた。 自然災害が起こる度に、 避難所での避難生活は 他人事とは思えない。 早く満足な量の物資が届くよう、 今、私に出来る事で、 現地の方々に迷惑にならぬよう 協力したいと思う。 去年を振り返ると、 10月に入っても(関東地方で) 半袖で過ごせるほど暑かった。 ここ何年か、夏の暑さを表す 「猛暑日」や、暑さからくる 「熱中症」と言う言葉に加え、 「危険な暑さ」と言う表現に 驚かなくなってきている気がする。 昆虫食に備える時代が来る

          ザワザワが消えない

          G7サミット

          今回は、1月に『ばぁばの独り言』で登場してもらった、ホーム利用者Aさんの戦争体験をお話しします。 この方はいつも明るくてホームの人気者のおばあちゃんです。 私たち職員は利用者さんをお名前で呼ぶのが基本なのですが、 この方は、名前で呼ばれると、 「なんやよそよそしいなぁ~。ばあちゃんと呼んでやぁ」と仰るので、私たちはあえておばあちゃん、と呼ばせてもらっています(勝手に)。 おばあちゃんは、テレビを見るのが日課で、特にお笑いが大好き。 彼女が笑うと他の利用者さんもつい、つられ

          shortstory後編

          その日、また園の門で大泣きをしていたぼくに近寄ってきたのは、 いつものお姉さん先生じゃなく、最近になって新しく入ってきたお母さん先生だった。 白い割烹着が珍しくて、一瞬泣き止んだぼくに、先生は微笑みかけながら 「タカちゃんはお外、好き?  先生も大好き」と言って、 お母さん先生は門の所に座りこんだ。 連れ戻されると覚悟を決めていたのに。 「ここに来る?」 と言って先生は自分の膝を指さして手招きした。 寂しくて心細くて胸が張り裂けそうなぼくはすぐにも行きたかった、が、 『

          shortstory後編

          ShortStory 前編

          ※障がい者の「がい」の表記について、漢字でもひらがなでも特に決めごとはないようですが、ここではひらがな表記にします。 私の勤めているホームに、最近新しい利用者さんが入ってこられた。 不安からなのか、玄関から中になかなか入ろうとしない。 「新しい所だから不安だよね、一緒にお庭を見に行ってみようか?」 と、先輩職員が優しくその青年に声をかけているのを聞いていて、高校の時、倫理社会の授業で、担当の先生がしてくれた話しをふと強烈に思い出した。 「もう40年くらいも前の事になるだ

          ShortStory 前編

          ばぁばの独り言

          いやじゃあ~りませんかデイの身は 歌は童謡 折り紙に ぬり絵に風船たたきあう 笑っちゃいるけど間がもてず そぉっとトイレで大あくび いやじゃあ~りませんか老いるのは キビキビ サッサと動けてた 若い日々 それが今 ヨタヨタ ヨチヨチ ヨロヨロよ それでもココを通らにゃ逝けません いやじゃあ~りませんかもう90 1人2人といなくなり 自分もそろそろ準備する そうも言いつつ 今日もまた 鏡覗いて眉を描く 職場で支援させてもらっている80歳半ばの女性利用者Aさんが、 「ばぁば

          ばぁばの独り言