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市原湖畔美術館【メヒコの衝撃】

夏の陽射しに誘われて、何年ぶりかで市原湖畔美術館を訪れた。高滝湖畔のこの小さな美術館は、我が家から小一時間で行けるお気に入りスポットの一つ。「いちはらアートミックス」という地域連携の芸術祭の拠点でもあるが、この状況下で残念ながら今は行われていない。

市原湖畔美術館外観

この夏開催されているのは、メキシコ独立200周年を記念した「メヒコの衝撃ーメキシコ体験は日本の根底を揺さぶる」という企画展(9月26日まで)。メキシコの風土や芸術にインスパイアされた8人の表現者にスポットをあてている。今回は写真OK。

市原湖畔岡本太郎

まず出迎えられるのは岡本太郎「明日の神話」の縮小スケールの最終原画。「メキシコはけしからん。何百年も前からおれのイミテーションをやっている」のっけから、さすが! 岡本太郎が撮った現地の人々もパネル展示。絵描き独特の感性か。レオナール・フジタの写真からも感じた対象への素直な入り方。

水木しげる仮面

水木しげるのメキシカン・マスク・コレクション。そういえば覆面プロレスの国でもありました。水木しげるが描いたメキシコの妖怪たちもずらり勢ぞろい。ところ変われど根底にあるのは、やはり子供への戒めや自然や死に対する畏怖の念。

市原湖畔スズキ

「ぼくの絵はすべてメキシコみたいなもの」というスズキコージの便座アート。「お尻だって、笑ってほしい」? 会場中央の吹き抜けをいっぱいに使ったスズキコージの祝祭空間は圧巻。

ほかにも北川民次、利根山光人、河原温、深沢幸雄といった今は亡き表現者の作品や足跡のほか、若きアーチストの小田香の映像作品なども展示。
生と死、聖と俗、それらが対立する概念ではないことを改めて感じたいい一日だった。そして、表現とは決して限られた人の「手慰み」ではなく、どうしようもなく噴出してしまうもの、即ち「不要不急」とは対極にあるものだということを。

市原湖畔篠原勝之

前庭には、鉄のゲージツ家・クマさんこと篠原勝之の作品「飛来」も。

市原湖畔美術館ピザ

必ず立ち寄る敷地内の「PIZZERIA  BOSSO」。湖を眺めながら、房総の旬の食材を使ったピザとスムージーをいただく。揚水機を模した展望台からの眺望もすばらしい(階段なので、今回は心臓のことを考え断念)。美術館はちょっと敷居が高い、という人にもおすすめのスポット。



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