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映画「世界のはしっこ、ちいさな教室」を観て、少し感じたこと考えたこと

このタイトルだけからは、この作品を見ようと思わなかっただろう。以前に見て感動した「世界の果ての通学路」の製作チームが作成した作品とわかり、どうしても見なければと思った。まずこの映画の紹介から;

「世界の果ての通学路」パスカル・プリッソン 2014年 仏 

世界4つの国を舞台に、2時間から4時間かけて長い距離を通学する4人の子供の通学風景を追うドキュメンタリー作品。ケニヤ、モロッコ、アルゼンチン、インドの子供たち。身の危険を犯しながらも、学校で学びたいという情熱を持って通学する。学ぶことで切り開かれる人生に確かな希望を持って通学する。

ケニヤ ジャクソン(14歳)   片道15km ・2時間
アルゼンチン カルロス(11歳) 片道18km・1時間半(馬)
モロッコ ザヒラ(12歳)    片道22km・4時間(月曜登校、金曜帰宅)
インド サミュエル(13歳)   片道4km・1時間15分(生まれつき足が不自由な兄の車椅子を弟ふたりが押す)

彼、彼女たちの姿は笑顔に溢れ、希望に満ちている。感動的に美しい。

今現在も世界中にいる、学校へ行って学びたいと願う数知れない子供たちの代表だ。目を輝かせ、微笑んで見つめる彼方には、必ず明るい未来が切り開かれるだろう。一人でも多くの子供達に、教育の機会が与えられることを願ってやまない。
フランスのアカデミー賞にあたる、セザール賞 ドキュメンタリー賞受賞作品。

一方、今回の作品「世界のはしっこ、ちいさな教室」の方は、生徒ではなく、先生が主役。学ぶ環境が整っていない”世界の果て”の子どもたちに「未来」を与えるために、身を捧げて教える先生たちの姿を追う。3つの「世界の果ての学校」が描かれている;

ブルキナファソ(西アフリカ);
 二人の幼い子供を残して、僻地の学校に赴任するサンドリーヌ

バングラデシュ;
 若い女性フェミニストのタスリマ。自分も家族から伝統的なしきたりに従ってお嫁に行くように迫られながらも、自立した女性になろうと教師の職に使命を燃やし、教え子の女性生徒たちに女性の権利を自覚させる教育を行なっている。
 
シベリア(遊牧民エヴェンキ族);
 教育のみならず、自らも属する遊牧民族の伝統を守ることにも使命を燃やす。都市で教育を受ける自分の娘と離れて、遊牧民の暮らすシベリア各地を巡回しながら勉強を教えるスヴェトラーナ。

子どもたちに、「学ぶ」ことと彼・彼女たちの「未来」がしっかり結びついていることを自覚させるのはとても困難だ。しかし、教育で一番大切な”このこと”を知っている教師が、強い意志と粘り強さでこの困難な仕事に取り組まなければならないことを、彼らの行動する姿が、教えてくれる。

蛇足だが、数年前から行なっている「学習支援」活動で、昨年は、二人の中3の生徒を担当した。2年生から教えていた二人のうちの一人は、当初落ちこぼれ気味だったが、徐々に学習意欲が高まり、自信もついてきた。この生徒への”卒業・進学”お祝いに、この作品のDVDをあげた。もう一人の生徒は中3の後半からの担当だったが、この子も最初は成績が振るわなかったが随分やる気が出てきた。この子には、長倉洋海の”写真絵本”「まなぶ」をあげた。二人のやる気を後押ししてあげたくて。

(終わり)

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