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【後編】【Brexit: 不信任決議提出後、何が起こり、今後Brexitはどう進んでいくのか】【MP議員の発言まとめ】


では、次は何がおこり、この結果をどう評価できるのでしょうか。

<<次は何が起こるのか?次に起こるSTEPまとめ>>

昨日の議決により、保守党と対立構造にある労働党党首のジェレミー・コービンが不信任決議を提出したため、本日16日19:00(日本時間17日4時)に、不信任決議が行われます。メイ首相はその前に、党首のクエスチョンタイム、議会での5.6時間に及ぶ討議を行うこととなります。

では、その不信任決議の結果次第で何が起こるのでしょうか?
下の表がBBCの記事から借りてきた表になります。

(出典:https://www.google.com/amp/s/www.bbc.co.uk/news/amp/uk-politics-46552939)


まず、前提として、2011年の定年議会法(Fixed Term Parliament Act)により、総選挙は5年ごとと決まっており、次の総選挙は原則2022年です。ですが、不信任決議がなされた場合のみ、例外が生じます。
今回は、不信任決議がなされたため、上記の表のとおり、

●否決された場合
これまで通りメイ首相が率いてBrexit協議を進めていく。
●可決された場合
STEP① 14日間のカウントダウンのはじまり
現在のメイ首相率いる政府or新たな政府、が信任投票をこの期間に再度得られるかどうか、争われます。
この14日間で、どちらかの政府が信任を可決出来た場合、その政府が今後のBrexitの協議を行っていくこととなります。もし得られなかった場合、次のステップに進みます。

STEP② 総選挙
もしどの政府も信任を得られなかった場合、国民の手に決断はゆだねられ、総選挙が行われることとなります。この総選挙は、不信任決議から25日までの間は実施されることはありません。

メイ首相は、自分が信任を得られた場合は、EUとのクロスパーティー協議を再度行い、ロンドン時間来週の月曜日(21日)に新たなEUとの協議案を発表するとすでに名言しています。

では、この不信任決議、どうなるのでしょうか。

<<現EU離脱案否決、不信任決議提出後の各党議員の反応>>

MP総計=634
●支持の見通し:324
保守党Conservative (314)
民主統一党DUP (10)

●不支持の見通し: 297
スコットランド国民党SNP (35)
労働党Labour (251)
自由民主党LibDem (11)

※これは党首や有力議員の発言をもとにわかりやすいよう、かなり雑に簡単に振り分けたものです。もちろん党内で意見はわかれますし、正解ではありません。また、発言を確認できなかった、その他の政党があることにもご留意ください。

それでは議員の皆さんの声を、支持、不支持、にわけて紹介してみます。

**支持派の議員たち**


>保守党(Conservative) 議員数:314
●Boris Johnson(former foreign secretary and leading Brexiteer)
”But he said it gave the prime minister a "massive mandate to go back to Brussels" to negotiate a better deal, without the controversial Northern Ireland backstop.”
(引用:https://www.google.com/amp/s/www.bbc.co.uk/news/amp/uk-politics-46552939)

おなじみ、保守党のドン、ボリスジョンソンは以上のように述べ、今回の選挙の結果より大きな混乱が示され、EU側は混乱によるEUへの経済的影響を避けるため、より譲歩したBrexit案を出す可能性が高い、と予想し、好意的に評価しています。また、不信任決議ではメイ首相を信任すると明言した、とBBCは報じています。
>民主統一党(DUP) 議員数:10
●Arlene Foster(党首) 

DUP党首のアーリーン・フォスターは、今回の選挙では、反対派に投じたが、不信任決議ではメイ首相の信任を表明しています

**不支持派の議員たち**

>労働党(Labor) 議員数:251
●Jeremy Corbyn(党首)

不信任案を提出した労働党党首であり、Brexitに反対しています。

●Chuka Umunna(議員)
Labour MP Chuka Umunna said that if his leader did not secure a general election, Mr Corbyn should do what the "overwhelming majority" of Labour members want and get behind a further EU referendum.” (引用:同上)

Jeremy Corbyn次第だが、労働党の多数議員が、国民投票の前の段階まで戻る(つまり、国民投票をやり直す)ことを希望している、と発言したとBBCは報じています。
>スコットランド国民党(SNP) 議員数:35
●Nicola Sturgeon(SNP MP, Scotland first minister)

二コラは、「新たな国民投票が必要だ」とし、労働党の不信任決議が可決され、新たな国民投票が行われることに期待しています。

彼女の主張は主に2つあり、

①Article50のプロセスで止まるべき
Article50というのはEUが定める、EU離脱時の様々な条件なのですが、EUを加盟国が簡単に離脱することのないよう、ペナルティに近い形で定められています。特にその3条にあたる、出国国は発効後2年以内にEUを離脱しなければならない、という条文については議論を呼んでおり、そうしたArticle50の内容についてまず議論を戻すべきだ、と主張しています。

②Refferendumを再度なすための法制度を整えるべき
もう一度、国民にBrexitの審議を問う選挙をするためには、現行の法律には「やり直し」に関する詳細がありません。そのため、彼女は再度の国民投票の実施を見据え、法案の整備を主張しています。
(参照:https://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-scotland-politics-46869773)
>自由民主党(Lib Dem) 議員数:11
●Vince Cable(leader)

”Lib Dem leader Sir Vince Cable, who also wants a second referendum, said Mrs May's defeat was "the beginning of the end of Brexit" - but conceded that campaigners would not get one without Mr Corbyn's backing.” (引用:同上)

彼も不支持を示してはいますが、Jeremy Corbynの支持なしにBrexitに反対を支持することは出来ない、とのべています。

<<この結果はどう評価され、不信任決議はどうなるのか?>>
※主観を含みます。

多数の見方としては、今回の議決で、Brexitのさらなる混乱が示されたことにより、EU側も混乱によるEUへの経済的影響を恐れ、より譲歩したEU離脱案が構築されるのではないか、というものです。そのため、不信任決議がどうなるにせよ、何らかの形で、メイ首相は新た場EU離脱案を示し、総選挙を回避することになるとみられています。
Brexitを様々な側面で延期することは確実とはいえ、3月29日にいったん「離脱」という形をとることはほぼ避けられない現状の中で、今から新たな国民投票、や、総選挙による政権交代が行われる可能性は低いのではないかと私は考えています。

少し雑なまとめとなりましたが、今の議会内での動きから見た今後の予想、と踏みうるプロセスについての解説でした!

本日19時に結果が出次第、またお伝えします!

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