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心理的安全性に対する誤解は多様性を理解すれば解消される

日々働いてる中で、「多様性」と「心理的安全性」というこの2つのワードを耳にすることは多いのではないでしょうか?

今回はこの二つのワードをデザインワークショップという視点から見て解説していきたいと思います。

まずはそれぞれのワードについてみていきましょう

デザインワークショップ

「デザインスプリント」や「デザイン思考のプログラム」など、様々な業種の人を巻き込んだグループを作り、何か共通の目的に向かって行う「ワークショップ形式」のもの全体を指します。

多様性

様々なところで多様性と言う言葉は使われていて、メディアなどで取り上げられる代表的なものとして「LGBTQ」があげられます。確かに多様性の要素の一つですが、多様性を考える上で必要なことの一部にしか過ぎません。

今回のテーマである「心理的安全性」や「デザインワークショップ」を考える上で必要な多様性の要素は「認知的多様性」です。

認知的多様性とは、個人や文化ごとに異なる思考のスタイル、能力、およびプロセスの多様性を指します。

これは同じものを見たとしても、人によってそのものに対する印象や考え方などが違うことを意味します。

例えば、「りんごについて教えてください」と聞いた時に、「赤い」「甘い」「果物」「料理に使えます」「美味しくない」「重い」「エデンの果実」など人によって答えが異なるということです。

このように、それぞれ個人の生い立ちやバックグラウンドによって様々な考え方があり、どれが正解で、どれが間違っている!みたいなことはありません。

どの考え方も感覚も、尊重されるべきものであり、何かの役立ちます。認知的多様性を高めることは、異なる視点からの洞察をもたらし、創造性や問題解決能力を豊かにします。

「多様性の時代だ!俺の考えを受け入れろ!!!」みたいなものは全く多様性について理解していない発言と言えるでしょう。その時点で、相手の考え方を受け入れていないのだから。

心理的安全性

このワードは本当に流行りましたね。でも流行したことで「心理的安全性」というワードが一人歩きしてしまっているのも現状です。

「心理的安全性」=「怒ってはいけない」という解釈ですがこれは部分的に正しいですが、部分的に間違っています。

心理的安全性は本来、「全員が率直な意見言い合うことができ、正しい議論」ができる状態を作るための考え方です。

その状態を作るために必要なことは以下のようなことです。

  • 誰もが萎縮することなく発言することができる

  • どんな意見も受け入れる姿勢がある

  • 建設的な議論ができる

このような環境を作るためには、「相手が言った発言を否定しない」「発言を馬鹿にしない」「間違ったことを怒らない」などのアプローチが必要になってきます。

全員が自由に発言や行動を取れるようにすることによって、チームの力を最大化する。これが心理的安全性の目的になります。

ただ何をしても怒られないという職場は、心理的安全性の本来の目的が達成できる環境と言えるでしょうか?今一度考えてみてください。

多様性と心理的安全性の関わり

ここまでこの記事を読んだ読者の皆さんは、なんとなくお気づきなのではないでしょうか?

心理的安全性の目的である「全員が自由に発言や行動を取れるようにすることによって、チームの力を最大化する」というのは、言い換えると「チームの認知的多様性を高めて、異なる視点からの洞察をもたらし、創造性や問題解決能力を最大化する」ということなのです!!

つまり、職場の心理的安全性を高めることは認知的多様性の獲得につながるということです。

このように、「多様性」と「心理的安全性」を組み合わせて考えると非常に理解しやすくなるのでないでしょうか。

現在、多様性と心理的安全性をそれぞれ独立して紹介しているケースがとても多いです。そのため、それぞれのワードが1人歩きし誤解を招いていると言えるでしょう。

デザインワークショップで考える

デザインワークショップを例に考えていきましょう。
デザインワークショップの目的は、「多種多様な人々とその時のテーマに取り組み、解決方法を見つける」ことです。

デザインワークショップで取り上げるテーマは、複雑で難しいものが多く、1人で解決できるものではないことがほとんどです。

難しい問題だから多種多様な人々(=多様性の確保)とその時のテーマに取り組むのです。多種多様な人々が集まるからこそ、全員が自分の持っている情報を率直に伝え合い、議論する(=心理的安全性)ことが必要なのです。

同じような人ばかりで集まってワークショップを行っても、認知的多様性が低いためいい解決方法が生まれません。

多種多様な人々を集めても、全員が忖度をしたり、萎縮をしてしまって思ったことが言えなければ、せっかく認知的多様性が高いのにその力が発揮されず結局偏った解決方法が生まれてしまいます。これでは意味がありません。

多様性と心理的安全性の2つが満たされた時にのみ「創造性や問題解決能力が最大化」されるのです。

まとめ

  • 心理的安全性は「怒らない」ことではない

  • 心理的安全性は「認知的多様性」を高めるための環境づくりである

  • 多様性と心理的安全性は密接に関係しており、片方でも欠けると効果は発揮されない

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