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生誕100年 山下清展ー百年目の大回想

本当に本当に行ってよかったこの展覧会。

新宿駅前のSOMPO美術館にて「生誕100年 山下清展ー百年目の大回想」。

作品もさることながら山下清の人柄、その言葉一つ一つが心にぐっときた。

「ぴあ美術展2023」に載っていて気にはなっていたが、行くきっかけとなったのは美術系ポッドキャスト「てくてく美術館」第62回で紹介されていたことだ。

きらきらぼしさんは番組の中で「3回膝から崩れ落ちそうになった」とおっしゃっていて、どれほど素晴らしい展覧会だったのかと。。

自分は先月京都でルーブル美術館展に行くまで、一度も美術展に行ったことがなく、ましてや一人の作家にフォーカスした展覧会に行って楽しめるのか少し不安もあった。(「裸の大将」というドラマのことも、山下清のこともこの展覧会の紹介で初めて知ったのである・・)

しかし、そんな不安はいらなかった。案の定、自分もきらきらぼしさんと同じように、膝から崩れ落ちそうになるのである。

8月26日15:00。SOMPO美術館の前には長蛇の列であった。前日テレビ番組で紹介された影響もあったのだろうか。混雑状況は60分待ちの表示。これだけ多くの人が訪れる展覧会。どんな作品が待っているのだろう。

入場すると、まずはエレベーターで5階に上がり、4,3階と順に山下清の生涯を作品とともに振り返っていく。

※本展覧会は撮影不可のため、写真の紹介はなし。ぜひ一度展覧会で見てほしいです。

一番私の心に残った作品は1938年の貼絵『鉄条網』である。「放浪へと駆り立てた戦争」という章の中で紹介されたこの作品は山下清が10代の頃に制作したものである。その作品の細かさ、色彩、時代背景色々なものが渦巻いてぐーっと心にくる作品である。以下山下清の言葉である。

戦争というものは一番怖いもので 一番大事なものは命で 命よりも大事なものはない 命を取られると死んでしまう 死ぬのは何よりも一番辛いもので 死んでしまえば楽しみもなければ 苦しみもない 死ぬまでの苦しみが一番辛い 戦争より怖いものはない

『鉄条網』説明文より

4階に降りると、ついにフライヤーにもなっているあの作品と対面することになる。『長岡の花火』である。圧倒的すぎて「すごい」という言葉して出てこなかった。貼絵なのが信じられない作品だった。フライヤーで見るより何倍も何十倍も美しく、温かく涙腺も潤むような。

この作品だけではない、山下清の温かく繊細な貼絵に囲まれたあの空間。涙を流しているご年配も方もいらっしゃて、あの場所にもっと居たいと思った。

3階に降りるとすぐに、山下清がヨーロッパで見た景色を描いた作品が並ぶ。自分は一番見たかった作品にご対面だ。1965年の貼絵『ロンドンのタワーブリッジ』である。人々、車、橋の影に至るまで、細かく描写されたこの作品。もう貼絵なのか信じられないような、目の前にすると言葉が出ない。(以下の展覧会レポートでも紹介されています。)

そしてミュージアムショップへ。今回は『長岡の花火』のA4ポスターを購入。作品を見たあの瞬間の感動を思い出せるように手元に置いておきたかった。

この展覧会に足を運べて本当によかった。心がこんな動くとは思わなかった。美術っていうと難しく遠く感じてしまっていたけど、もう一度足を運びたいと思うこの気持ちが答えな気がしている。

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