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デザイナーのインポスター症候群エピソードを集めました😮

デザイナーのみなさん、デザイナーをやっていて自信の無さや不安から『自分自身or誰かを騙しているように感じたこと』ってありませんか?

そんな、自分の力で何かを達成して周囲から高く評価を受けても、自分にはそのような能力はないんじゃないか?評価されるに値しないんじゃないか?と自分自身を過小評価してしまう傾向を『インポスター症候群(詐欺師症候群)』というそうです。

これを知ったのは、海外記事「Designers discuss imposter syndrome(直訳:デザイナーが詐欺師症候群について話し合う)」に出会ったのがキッカケでした。

記事では、現役デザイナーさんたちがそれぞれの実体験や感じたことを綴っていて、共感できることもたくさんあり、こうやってお互いに辛いことや不安なことをシェアし合うのは素敵だなと感じたのです。
そこで似たようなことをやってみたくなり、このたび募集を行ない、みなさんから投稿頂いたものをご紹介いたします!

(一部、名前の後に抜粋文を載せていますが、ほかは原文のまま掲載しております。)


Episode 1.
デザイナーと名乗っていることに若干の罪悪感(にこにこさん)

まだ美大生だった頃、友人からお願いされて無料でイベントフライヤーを制作したら反響が良く、次からもお願いされるようになり、さらに別の人からもお願いされるようになり、そのうちお金がもらえるようなり、気がついたらフリーランスのデザイナーになっていた。
しかし実はファイン系学部卒でデザインの講義は一度も取ったことがない。デザイナーというのもほぼ他称で、最初は「〇〇大学の〇〇さんです」と紹介されていたのが「デザイナーの〇〇さんです」と紹介されるようになり、最初こそ「あ、デザイン科じゃないです(笑)」と訂正していたが途中で面倒になりデザイナーと名乗ることに。
美大卒でデザイン科の友人の苦労を知る分、こんなんでデザイナーと名乗っていることに若干の罪悪感が湧く。お金を貰うようになってからさすがに勉強したが、「自分なんかちょっとソフトが使える程度なのでは…」と思う日々。

H.N. にこにこ
・グラフィックデザイナー/デザイナー歴4年/東京都
・経歴:チラシ製作、パンフレット製作など

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Episode 2.
初期のお客様を、悪くいってしまうと騙して踏み台にしてしまったように見えると思います(ティラノザウルスさん)

フリーランス駆け出しの頃のエピソードです。
組織に縛られず自由にデザインを作って生活していきたいという安直な考えから始まったので、サイトコンセプトや要件定義・設計・進行管理や、請求処理など、デザインを「つくる」以外のことに対して興味がなく、顧客をなかなか獲得できませんでした。

見よう見真似でWPで自サイトを構築し、最初は実績作りのために架空のサイトを作ったりデザインインプットを行なっていました。

ある時学生時代の先輩に誘われとあるイベントに行った際、フリーランスになって初めてたくさんの多様な業種に関わる方々と交流をしました。
ディレクターやコンサル、営業、マーケター、イベンター、本当にたくさんの方々と交流しました。
そこで顧客との関わり方や話術、売上の管理や経費精算のことなど自分が面倒臭がって避け続けてきた「つくる」以外のビジネスのお話をたくさん聞くことができました。

といっても、話を聞いただけで実践はまだまだだったためこれも最初は見よう見まねで顧客にアプローチをかけていきました。

この頃の顧客は、地域で個人店を営むご年配の方や知り合いの絵画教室など、比較的Webに知見がないのでとりあえず自由に作ってくれというお客様が多かった印象です。
予算もそれほど無いので、いくつか条件をつけて契約をとりました。

・納品のバッファを多めにもらう
・構成や要件はお客さんに考えてもらう
・修正回数の上限を決める

今考えると結構むちゃくちゃですが、「それっぽく」振る舞うことでお客様にも安心していただけていたと思います。
もちろん制作は手を抜くことなく、しっかりクオリティを担保したものを納品させていただいたつもりです。

続けていくうちに、実績も増え企業からの受注も増えてきました。並行して自サイトのブログで備忘録や業務の振り返り記事を書いてSNSで配信していくうちに、「デザインで顧客の課題を解決する」ということを学びました。

「それっぽく」を続けているうちに、個人で仕事を獲得しサービスを提供するということが身につきました。
ただ、大事なのはデザインだけは「それっぽく」やってはいけない事。
顧客ブランドの顔になるWEBサイトなので、デザインのクオリティだけは手を抜かないように心がけました。

振り返れば初期のお客様を、悪くいってしまうと騙して踏み台にしてしまったように見えると思います。
納品物は喜んでいただけたし、「かわいいHPをありがとう」「HPを見て来てくれたお客さんが増えた!」という嬉しい声もいただけましたが、未だに申し訳ない気持ちがあります。
自分も自身のディレクションスキルのなさを騙し騙し活動してきた期間だったと思います。

ただ、この頃があったからこそ「つくる」以外の様々なことを学べたし、現在事業会社に所属してユーザーにより良いサービスを作り続ける仕事ができているんだと思います。

「それっぽく」しようとすると事例などの記事を読み漁り自然と勉強をします。結果、少しずつですがスキルが身につくような気がしています。そしてまた新たな「それっぽく」しなければならない状況が発生すると、また勉強をします。

騙し騙しやっていることも、顧客のことや制作物のクオリティのことを常に念頭に置き学び続ければ、いつか本物のスキルが身につくことを実感しました。

H.N. ティラノザウルス
・Webデザイナー・マーケター/デザイナー歴11年/東京都
・経歴:大学卒業後、趣味レベルでphotoshopやhtmlをかじった程度のほぼ未経験の状態で某都内制作会社へアルバイト入社。3年目にフリーランスとして活動開始。5年間の活動を経て事業会社へ入社し、デザインの他ユーザーの行動データ分析やそれに基づいたUI改善、施策の効果測定などCRO領域の業務を行なっている。文章力は0。

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Episode 3.
ずっと自分と周囲に嘘をついているような気分で、プロジェクトを進めている感覚がとてもつらかった(Mi2さん)

デザイナーを任されてから、すぐに新規サービスのプロジェクトにアサインされ、デザインの基礎がない状態で突貫工事的にワイヤフレームやプロトタイピングをし、最終的なデザインの意思決定、エンジニアとの議論、リリースまでをやってのけたが「このデザインの根拠は?」と聞かれると回答出来ない点が多く、いつもヒヤヒヤしながらデザインしていた。
当時は、Pinterestや競合他社のサイトを徹底的に見て、そこから自分が良いなと感覚的に選んだ部分的なデザインをピックアップしていたから…。
それでも結果、エンジニアからのフィードバッグによって、全体的に整合性がとれたデザインになったのは良かったが、ずっと自分と周囲に嘘をついているような気分でプロジェクトを進めている感覚がとてもつらかったので、外部に相談できるデザイナーがいたら良かったなと思う。

H.N. Mi2
・デザイナー/デザイナー歴1.5年/東京都
・経歴:ITベンチャー2社にて、営業、企画、コンサル、オペレーション改善、新規事業などに携わり、現在の会社にて最近デザイナーにキャリアチェンジ。

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Episode 4.
これをみて買ってくれたお客様に、すごいなんだか罪悪感しかなかったです(タンタラス12さん)

社内で1人のインハウスデザイナー
右も左も分からず入社した会社はデザイナーがおらず、私が初めてのデザイナーでした。
健康食品のLPやバナー制作など作っていたのですが、誰もクリエイティブに関心が薄くCV上げられるのをお願いします。ユーザーに刺さるコピーお願いします。。。この要素追加して下さい。。。

ただわけも分からず要求に応えようと競合サイトやお店でフリーペーパーをもらってインプットに努めていました。

美大出身でもなく、社会人スクールでデザインを学んだ程度の経験での中途採用で、自分の努力も足りていなかったと思う部分もあるのですが、フィードバックがないことや、仕上げた成果物がどうなったかの検証や測定に関わる機会が全くなかったので何が「正」で何を発展させていけばいいか分からず、基準というのが全く分からなかったです。
次第にただ作ればいいんだと自分に言い聞かせてマシーン化していきました。
これが自分の仕事、求められているタスクなんだと。
とっても気持ちが死んでいたと思います笑

自分じゃなくてもこの仕事できるよね?売れればこのデザインでもいいんだ。。。
これみて買ってくれたお客様に、すごいなんだか罪悪感しかなかったです。
騙してるものを作っているわけではないのですが、ただ売れれば正義みたいなのってどうなのかなって?
それは売れれば最高で、利益を出せるデザイナーって言えるのかもなんだけど
とっても後ろめたい気持ちを持ったまま仕事してました。

デザイナーとは言いつつ、会社内でしか通用しないデザイナーってずっと思ってます。。。全部クリエイティブ作ってきた自信あるけど一歩外にでたら自分のやってきたことデザイナーってなんだか胸張って言えない恥ずかしさがずっとあります笑

デザイナーって名前でクリエイティブな人だって捉えられ方するし、デザイナーが言うからその通りだねってわからない人は言うけどもっと話し合いたいデザイナーもいるし、そういったことで自分の作ったものを言語化できる機会にもなるので仰々しく「どんな意図でコレ作ったの?」なんかじゃなくてもいいので、もっとフランクにデザイナーという人と対、「人」とコミュニケーションしてほしいですね!
インハウスだから業務が緩いときはめっちゃ空想したり、理想に近づけるように憧れているサイトや尊敬してる会社のデザインとかみて心を保ってました(笑)
憧れや理想を思い描くだけで人って気持ちのバランス保てるんだとも思います!

H.N. タンタラス12
・インハウスWebデザイナー/デザイナー歴8年/東京都
・経歴:通販事業会社のインハウスWEBデザイナーとしてやっています!LPの制作(コーディングなし)、同梱物のチラシ制作など
過去は電子書籍のエディトリアルデザイナーやったり、スーパーのチラシ制作のアシスタントもやっていました。デザイナー業以外はスポーツインストラクターも2年くらいやっていました。

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Episode 5.
サイトの向こう側に泣く人はいないだろうか(ぱんちゃんママさん)

フリーランスになった頃、会社員の頃にはなかったような業種のWeb制作を打診されることが増えました。
男性を女性が接待する業種のお店や風俗関連、出会い系サイト、情報商材系のサイトなどです。

それらのサイトの向こう側に泣く人はいないだろうか?
それこそ、私が作るデザインが誰かを騙していることにはならないだろうか?

そう考えると、私にはやっぱりできないなと思い、お断りしています。
そのために縁が切れたクライアントさんもいました。
でもフリーランスとして10年たった今、そういった業種の案件依頼は無くなりました。

ただ、上記のような業種以外でも、ごくまれにですが、お仕事の原稿を読んでいて視聴者目線で見た時に、あまりにも効果を誇張していないか?と、心配になることがあります。
広告としては、それが正解なのだとは思うのですが。。

H.N. ぱんちゃんママ
・Webデザイナー/デザイナー歴20年/大阪府
・経歴:IT企業のインハウスデザイナー、制作会社のWebデザイナーを経て、フリーランスへ。

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