見出し画像

先輩からのダメ出し、自分の作った物を全否定された気持ちになる〈#デザイナーのお悩み相談〉No.005

こんにちは、スズキアユミです!5月ももうすぐ終わりが近づいてきて、だいぶ梅雨っぽくなってきましたね。

今回お手紙をくださったのは、DTPオペレーションとデザインのお仕事を3年ほどやっているというデザイナーさんです。
デザインのお仕事では、ディレクションをしている先輩デザイナーから修正指示をもらうそうなのですが、それが事細かくほぼすべて変更するような内容だったりするので、自分の作ったものを全否定されたような気持ちになってしまい凹んでしまうのだそうです。
それだけでなく、自分自身も「またどうせ先輩に全部作り変えさせられるのだろう」と思ってしまい、ますます良くないデザインになっているような、負のループにはまっているような気さえするのだそうで、そんな時の心の受け止め方や改善方法などをお聞きしたいという内容でした。

わかるーーーー!!
これを読んだ私含め、デザイナーのみなさんの声を代弁してみました。ふざけてはおりませんよ。大真面目に、先輩デザイナーと仕事したことがある方なら誰しも感じているのではないでしょうか。
相談者さんも愚痴っぽくなってすみませんと書いていたのですが(お手紙に愚痴も大歓迎ですよ!)、「そんなに事細かに修正指示だすなら、最初から先輩が自分で作ればいいじゃん!!」って、ええ、思いますとも私も。

さて、少し気を落ち着けて、モヤモヤしたままではいけませんからね。私なりに、こんなふうにすると良いかもと思ったことをこれからお話ししていきますね。相談者さんやこの記事を読んでいるみなさんの、楽しいデザインライフの糧に少しでもなれば幸いです。

デザインした物は関わった全員の"共作"である

これは仕事でデザインをし始めた時に、誰もが陥りがちだと思うのです。自分の手から生み出すので、どうしてもデザインした物を「自分の物」と錯覚しがちです。アートと違い、いろんな人・立場の人が関わるので、自分の思うようにいかないと感じて、デザイナーを辞めてしまう人も多くいます。

デザインした物は、自分が生み出した物ではなく、あくまでも「みんなで生み出した物」なのです。私は、これこそアートでないデザインの大事なポイントで醍醐味だと思っています。ここを楽しめないと、おそらくこれからもデザイナーをやっていく上で苦しいことが多いのではないのだろうかと私は感じます。

この「みんなで生み出した物」という捉え方をすると、自分がデザインした物へ、他人から受けるフィードバックの受け取り方がだいぶ変わってくると私は思っています。

今回の相談者さんの話を例に上げると、相談者さんがデザインして出来上がった物は、あくまでも『先輩との共作』になります。それに対して先輩がゴリゴリに修正指示を出そうとも、その修正前の物も、相談者さんだけでなく先輩自身も生み出した物でもあります。

そうやって捉えると、作る前にもっと先輩とのすり合わせが必要だったのではないか?途中段階でも見せていろいろ先輩に相談するべきではないか?という思考が生まれてきませんか?いかがでしょう?

先輩目線だと…細かく修正指示を書くの、じつはかなり大変なのです

私もほかのデザイナーさんへ修正指示をした経験が幾度もありますが、ええ、もちろん、事細かく修正指示を書くよりも自分でやった方が早いです(笑)。
でも、そこは敢えて手を動かなさいということはどういうことか。相談者さんの先輩もデザイナーということですから、自分で手を動かせる分、とってもヤキモキすると思います…。少なくとも私ならそうです。

もちろん、精神的な負担をかけないような指示の出し方など、先輩自身にも改善余地はあると思います。ただそこは人同士なので、先輩不器用なんだなぐらいに思えると、相談者さん自身も気持ちが柔らかくなるかもしれません・・!

そういう意味では、フランクな場で少し先輩と修正のやりとりについてコミュニケーションをとるのも良いと思います。じつはお互いに「相手がそんな気持ちになってるの知らなかった」ということがほとんどです。先輩も意図してやっている訳ではないとしたら、先輩自身も悲しいでしょうしね。

そして、方針やスタンスは人それぞれなので、これから書くことはあくまでも参考までになのですが、
前項に書いたように、デザインが出来上がってから見せるのではなく、途中の過程で随時すり合わせするようにすれば、一気にまるっと修正するような指示を先輩も出す必要がなくなるかもしれません。
そして、なぜそのように修正した方がいいのかも丁寧に説明すると、これもまた時間がかかることなのです。経験が長い分、もはや感覚でやっていたりしますしね。(デザインの言語化もやってみると意外と難しいのです。)

なので、↑のように小出しにして先輩の負荷をかけ過ぎないようにちょっとずつ意図を聞き出してみたり。または、どうしても今は忙しくて期限が優先される(最終的に指示通りに全修正、というのもこれが原因になることも結構あります)場合は、提出が終わった後で先輩に時間を取ってもらって意図を聞いてみる。など、毎回一つずつでも、相談者さんの「先輩の制作意図に反する」と感じる部分を紐解いていくのも、モヤモヤ解消につながるのではないでしょうか。

いろんな先輩のタイプがいるので、これだけでは解決につながらないかもしれませんが、先輩へ「デザインをもっと良くしていきたいんだ」という姿勢は少なくとも伝わると私は思います。また、先輩自身のデザインへのスタンスもわかってくると思うので、自分のスタンスに合う・合わないの判断も付きやすくなりますし、この先輩はこれが得意だから、それをしっかり物にしてから次へ〜!みたいにもできますしね。

最後に、先輩も"人"だった

自分よりも上の役職の人だと、期待したり、こうあるべきだとどうしても思いがちなのですが、「あ、先輩も"人"なんだ。失敗もするし、不得意なこともあるんだ」ということを受け入れられると、グッと気持ちが楽になります。

相談者さんは異業種からの転職、派遣社員ということですので、勝手な想像で違ってたら大変申し訳ないですが、もしかしたら「先輩よりも自分は劣っている、だから辛くてもありがたいと思わないと」と自分に言い聞かせているのかもしれません。でも、そのマインドのままでは、いつまでも先輩との"共作"にはなかなか近づかないことでしょう。なぜなら、先輩もあなたをそう扱うしか無くなってしまうからです。

自信を持てなんて言いません。相談者さんに必要なのは「下手くそですみません」でなく、「どうしたらもっと良くしていけるか一緒に考えてくれませんか、私も一緒に考えたいです」なのかもしれません。一人で必死に目の前のことを頑張るフェーズから、また一段回上のフェーズへ進んできてるように私には見えます。こうやって書くと偉そうですが、相談者さんの今のモヤモヤから抜け出した先が私は楽しみで仕方ありません!

十分頑張ってるので、今度は一人で頑張らずに人に頼りましょう!先輩を上手く巻き込んでみて!何なら先輩を上手く使ってやるぞ!ぐらいな気持ちで 😜(先輩ごめん)

Special thanks:
今回お手紙を下さった パル様

***

過去にブログでこんな記事も書いたので紹介しておきます→
デザインを見せる前に「自分も聴く準備」をしておくことが大事だった
デザインを見せる時は「自分も見る側」になることが大事だった

上のブログ記事で紹介しているこの本もおすすめですよ→

***

引き続きデザイナーさんのお悩み相談募集しております!
お気軽にどうぞ!→

これまでのお悩み相談はこちらにまとめています→


最後まで読んで頂きありがとうございます。頂いたサポートは私の癒やし担当、愛猫シャーロックの胃袋にしっかりおさめます!