デザイナー向いていないかもしれない。
何度思ったことか。
私は、(先輩方からみればまだまだだが)一応10年以上はデザイナーを続けている。新卒から基本デザイナー以外の職業はやっておらず、それで自分の飯と愛猫を養ってきた。
そんな私もずっと順風満帆だった訳では無い。失敗したり、トラブルが起きたり、迷惑をかけたり。その度に自信をなくして、「もうデザイナーやめようかな」と思った。たぶん、4〜5回は確実に訪れている。
でも、私は凝りもせず戻って来ている。
「もう私デザイナー駄目かも」と少し休んで、しばらくすると沸々と湧いてくるのだ。
─── ああ、やっぱり作りたいな。
これは好きというより、中毒。
という方が合っている気がする。
好きだから続けられる、好きこそ物の上手なれ、とよく言ったものだが、私とデザインはそんなピュアな関係ではないと感じるのだ。
この味を知ってしまったら、もう忘れられない。辛くても求めてしまう。
それほど探求のしがいのある分野でもあるし、常に時代の変化と密接な関係なのでスピード感もある。ぼーっとしていたらあっという間に置いていかれそうなスリリングさ。
だから最近は「デザイナー向いていないかも」と思うと、
「まあ、でもまたここに戻ってきてしまうんだろうな。ちょっとそれまで少し休もう」ぐらいな気持ちでいる。
好きだから続けているんではなくて、
続けているのを他人からは好きで続けているようにみえるのかもしれない。
だから、好きか、嫌いか、どのぐらい好きじゃないとならないのか、なんて考えて思い悩む必要はないように思う。
とくにまだ経験の浅いうちは、まずは続けてみるのが大事なんだろう。
あまり続かなかったら、まあ自分の熱はそこまでだったのだろう。(少し休めば私のようにまたやりたくなってくることもあるだろうし。)
別に続かなくても嘆く必要はない。ほかのものに挑戦する機会が生まれたということなのだから。
じゃあ、何年続けたらわかるのか?
たぶんもうその計算をしている時点で、続かないのかもしれない。
習得できるスピードは本当に個人差があるし、1年ですぐ活躍する人もいれば10年でやっと芽が出る人もいる。
それこそ、私はデザイナーだ!やりきったぜ!と満足できるのなんて、私もまだ全然先がみえないし、一生訪れない気がしている。
そんな未知の旅に出ようとしている時に、何年続けたらいいのかなんて考えていたら、もうその時点で自分はその旅にワクワクなんてしていないのではないだろうか?
未知で不安で、何年続くのかわからないこそ。
私はこの旅の途中の、いまこの瞬間を楽しんでいたい。
不安に駆られすぎて、その折々にある最高の景色を見逃してしまうのも勿体ないと思うのだ。
(Thanks: Illustration by Transhumans, Photo by Greg Rakozy on Unsplash)
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